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チーズ専門店のなかのチーズ専門店

  

このページでは、チーズマーケットが目指すチーズ専門店の理想をお話したいと思います。初めに上の写真ですが、フランスのある有名なチーズ専門店の様子です。私達の目標になるお店の一つです。この店では、小さな箱物ではなく、ホール(塊)を多く扱っています。お客さんが注文をしてからチーズをカットします。予め小分けにしたものや真空パックなど、いわゆる「切り置きチーズ」がありません。また対面販売の為、むやみにチーズがお客に触られることもありません。来店のお客さんに対しては味の好みを聞き、個別に2、3種類の試食も出していました。過剰な包装がなく、カット後にその都度チーズを包み直しているので、どのチーズも蒸れていません。つまり毎日、担当者が全てのチーズを観察していて管理状態が良好なのです。その為、この店には多くの飲食業のプロがこの店の顧客を持つことが出来て、安定した注文を受けているので、どのチーズもに仕入れて直ぐに売れるという回転のいい店になっています。
  
私達チーズマーケットもこういうチーズ専門店でありたい。(2012年12月末時点では、98%は、実現できたと思います。)もっと自分を高めていきたい。
  
  
一方こちらは、フランスなどの量販店(スーパー・デパートなど)の一般的なチーズコーナーです。先のチーズ専門店と何が違うか分かりますか? ・・・・ 小ぶりの箱物や予め小さくカットされトレーに入れられたチーズ、真空パックのチーズが大半です。(扉がなくて温度が不安定なオープン冷蔵庫に並べて強い照明に当て、たくさん積み重ねて、ギュウギュウに押し込んだりすることは、チーズにとって良くないのですが・・・。でも、何の疑問も感じないようでこの様に販売しています。 効率優先? コスト削減? たくさんあるというヴォリューム感を出すため?)ただ箱から出して、棚に並べるだけ。全くチーズの品質に対して手を掛けていません。見るのは消費期限が来ているかどうかだけのようです。こんなことでは、いつもいい状態のチーズを売れるはずがありません。手を抜いておいて、おいしくなることはあり得ません。先のチーズ専門店のように、チーズは常にその状態(香り、色、弾力、包装 etc )を見てあげないと、おいしく成っていかないのです。(しかし、プロセスチーズは問題外です。これはもう乳酸菌が死んでいるので、味の変化はありません。)
  
例; 結露してふやけるチーズ  蒸れたまま積み重なったチーズ 
 
 
次に下の写真をご覧下さい。(とても恥ずかしいですが。)こちらは、チーズマーケットの初期(1998)のチーズです。どうですか? まさに先の量販店にあるチーズコーナーのチーズと何ら変わりませんね。この頃を振り返れば、輸入元の強みで、「安いけど、さほど感動しない味のチーズ」を売る日々で真のチーズ専門店ではなかった気がします。 (手前の三角形のチーズは、現地フランスで既に小パックされたロックフォール。味が、・・・・・・。)「イタリアそのままの味、パルミジャーノ」とうたいながら、イタリアで真空パックにされた小分けのものを売っているネット店を見ると、それは間違えているとはっきりと言えます。労力をかけないで売ろうという考えが甘いのです。その売り手がチーズのことを理解していないのだと思います。(写真をクリックすると画面の上側にある三角形のチーズがパックされたパルミジャーノです。)
 
私達は、こうした味重視でなく、たくさん流通させる事が目的の少量パックを少なくし、7年かけてガラリと仕入先を替えていったのです。つまり大手のチーズメーカーや大手の卸売り業者からの仕入れを止め、小さい作り手のチーズを扱うランジス市場やメーカー直取引などを増やしていきました。真空パックも札幌のチーズマーケットの店頭でお客様の注文があってからするようにしています。だから切りたてのフレッシュ感を味わえるのです。
 
 
 
  
もし、今もチーズマーケットがこの手の並べるだけの箱物チーズ、別名「特急チーズ」だけを輸入し売っていたら、「独自に熟成管理が出来る真のチーズ専門店」には、成れなかったと思います。また、これほど多くの全国のお客様からの支持は得られなかったと思います。
 
何キロもの大きなチーズから、その都度カットしたりと手間のかかる仕事だからこそ、いい状態を維持でき、そのチーズがもつ本来の味を最大限に引き出せるのだと思います。それ故、担当者は数多くいるよりも、責任が持てる1,2人程の専属が必要だと思います。そして、何よりこれまでのいろいろな経験から言えることは、「チーズにとって、陳列しないのが一番いいこと。」なのです。チーズがゆっくりと育ったあのセラー(熟成庫)から直接売ることが出来れば、それが買う側にとっても一番いいと思います。下の写真は、当店の営業日(金と土の2日間)だけの陳列の様子の一部です。(ガラス扉のある冷蔵庫内にチーズがあります。)
 

詳しくは、→  店舗紹介の写真 

 
青カビチーズの陳列の一部 やぎのチーズの陳列の一部。ラップをしたやぎのチーズは買ってはいけません。
ウオッシュチーズの陳列の一部 白カビチーズの陳列の一部


まとめますと、品質の良いナチュラルチーズ(乳酸菌が生きている)を手に入れる為には、
 
1. 現地でパックされたものや予め箱に入った小ぶりのチーズ(特急)は、ホールから切り出すチーズよりも味が落ちていること場合があることを認識する。
2. ガラス扉の無いオープン冷蔵庫で売られているチーズには、それがどんな状態なのかを特に注意する。
3. 過剰な包装をしていないか。ずっと同じ包装をして、チーズが蒸れたり濡れたりしていないか。
4. いつでも同じ担当者が常駐しているか。
5. 注文してからその都度、チーズをカットしてくれるか。(切り置きチーズを買わない。)
 
こうした店を自分の目と足でじっくりと探し出して、店主に自分の名前を覚えもらい長く付き合っていくのが、いいチーズを買う方法だと思います。自分の味の嗜好を店主に知ってもらえるようになれば、より自分の好みに合うチーズが食べられるようになると思います。


チーズ専門店のなかのチーズ専門店