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赤ワインの性質と味の変化
シチリア島の仕入れ旅で
頂いたワイン(OCT 2004)
1本の赤ワインをじっくりと3時間ぐらいかけて、楽しまれたことはありますか?
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、デカンタージュといって赤ワインはボト
ルから直接グラスへ注いですぐに飲むよりも、一旦別の容器に移し換え、しばらく
置いておいた方がより風味が増してきます。これは空気中の酸素により赤ワインの
成分の一部が化学変化を起こし味が変わるのです。また、赤ワインが空気と触れる
ことにより味はもちろん、隠れていた香りもより出て来るようになります。
つまり、
「赤ワインは空気により容易に味が変化し易いし性質を持っている。」
と
いうことを覚えておくと、より美味しく赤ワインを楽しるようになります。
私がワインを輸入する際には、次のような手順でワインを調べます。まず、ワイン
のコルクを抜き、すぐにグラスに注ぎます。(もちろんコルクの抜け具合や状態、
そして付いたワインの色や艶・香りも調べます。)そしてすぐに香りを確かめます。
次にグラスをしばらく20秒ぐらい回し、さらに別の香りを探します。ほとんどのワ
インは最初の香りとしばらく経ってからの香りは違うので面白いです。香りを確かめ
るのと同時にグラスを傾けて、グラスの内側を伝わるワインの流れ方と色を調べます。
そしていよいよワインを口に少し含み味をみます。ワインの美味しさは、すばりバラ
ンスが良いかどうかで決まります。口に入れる前に私はいつも次のポイントを意識します。
それは甘味と酸味と渋味です。そして時には、苦味のことと女性の消費者を意識してア
ルコールの強さを飲んでみてどれくらいに感じられるかを意識します。バランスが悪い
ワインですと、こうした要素の中の一つ、或いは何個かが突出しています。「酸っぱい
なぁーと」か「やけに水っぽいなぁー」というような印象を受けるのです。
さて、最初の3時間の話に話題を戻しましょう。
ある程度バランスが悪いぐらいの赤ワインなら、時間が解決してくれる事があります。
そうです、これがデカンタージュなんです。
しかし、一般の消費者の方からは、「デカンタージュが赤ワインに大切だという事は
理解できるけど、デカンタージュする道具がないよ。・・・」と云われるかもしれません。
たかいデカンタージュ用のガラス瓶など不要です。
しかし、上の写真にあるように広口の大きなマグカップにでもフルボトルのワインを
1/3程注いで、30分か1時間おきに左のようなグラスに注いで味を確かめればい
いのです。そうして、それぞれの赤ワインの味が花開く時間をメモしておけば、次回
から食事の○○時間前に開けておけば、食事の時に最高のコンディションでワインを
楽しめるようになるのです。
また、こういった経験を重ねる事で、値段やぶどう品種や生産地別のワインの特徴が
理出来るようになってくるのです。私たちが輸入して販売していくワインも必ずこの
工程を踏みます。するとお客様により正確なアドバイスが出来ます。「この赤ワイン
は、すぐに飲んでも美味しいですが、栓を抜いから○○分ぐらい経って飲まれると一
段と美味しくなりますよ。」・・・と。デカンタージュした方がいいとは云うけれど
実際に何分位とまで言えるワインショップは日本では余りないと思います。
これでもう赤ワインを一口飲んで、「うわー、まずい。」 なんてことでそれ以降、
そのワインを口にしなくなることが無くなれば幸いです。長い目で付き合って欲しい
それが赤ワインの上手な飲み方なのです。
最後に白ワインはどうでしょうか? はい、赤ワインほどではないですが、やはり空気
に触れて味が変化します。変化するという意味は、味が良くなる事もありますし、逆に
落ちる事もある、両方の意味を示しています。どのタイミングが一番いいのか、自分な
りの方法を見つける楽しさもあるのがデカンタージュです。 (おしまい)
赤ワインの性質と味の変化