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このモンドールチーズは不良品なのか



モンドールに限らず、フランスのチーズは手作りが多いです。そのため、下の3枚の写真のように表面の様子も一つとして同じものはありません。金太郎飴のように同じ大きさ、形、同じ包装紙で出荷された大量生産のチーズを見慣れている方には不思議にあるいは奇異に思われるかもしれませんが、これが自然食品と呼ぶにふさわしいチーズ本来の姿だと思います。

つまり、「この3つのモンドールは、全ていい状態のモンドールAOCチーズであると言えます。」


モンドールの表面。波打っています。 モンドールの表面。ピンク色をしています。 モンドールの表面。かなり波打っていますね。

では、どうしてこのように表面の凸凹の様子が違うのかと申しますと、次のような手順でモンドールが出荷されるからです。


1.一番外側の木箱は出荷用で、これに入れる前のモンドールは、重量や大きさも形もバラバラです。

2.しかしこの木箱の大きさは、ほぼ同じです。

3.モンドールをこの木箱に入れる際にモンドールが大きいと押し込めるように入れることになります。

4.すると入れる前まで平らだったモンドールの表面がゆがんでデコボコになってしまうのです。

5.つまり、デコボコの度合いが大きいほどそのモンドールの元のチーズが大きくて木箱に入れるのが大変だったことを物語っています。上の3つのモンドールでは、大きかった順に、右、左、中だと考えられます。(注;メーカーによっては、木箱の大きさが揃っていないこともあり、そんな場合にはこの推測は当てはまりません。)


 

これまで、モンドールを毎年500個、累計で3千個以上を輸入して参りましたが、全く同じ形・色・大きさのモンドールを見たことはありません。つまりモンドールチーズは、整形されたプロセスチーズと違って、どれも違っていて当たり前なのです。

 

では、上の3と4のカビについて見てみましょう。下の写真のように、 いろいろなカビが付いています。これらのカビは安全ですので、そのまま表皮ごと全て食べられます。(でも、食べなくてもOKです。) 左の写真の下側のようにモンドールの表面にじゅうたんのようにうすく張り付いているカビもあれば、写真の上側にある樅の木の外枠とモンドールの隙間に見える細い糸状のカビなども見えます。また、右の写真のように脱脂綿のような重厚感のあるカビも生えています。

 

モンドールの表面、糸状のカビが生えています。 モンドールの表面、脱脂綿のようなカビが生えています。

チーズマーケットのモンドールがおいしいのは、第3話でお話しましたとおり、生乳(殺菌処理などをしないそのままのミルクの意味です。)を使っているからです。ナチュラルチーズの中でもモンドールをはじめフランスのチーズは、生乳を使ったものが多いです。生乳を使う狙いは、ミルク本来の風味を生かしたチーズを作るためです。これがモンドールなどのフランスチーズがおいしい理由だと思います。表面にカビが生えている・・・。うーん、とても素晴らしいチーズだと私達は感じます。何故なら、少なくともこのチーズには防腐剤が入っていないのだと分かります。とことんミルクを殺菌してしまい、更には防腐剤もたっぷりこん入っているどこかの国のプロセスチーズ。自然食品のチーズとは、かけ離れたチーズらしきシロモノがとても多く売られています。それは一見きれいで、良いように感じる消費者もいらっしゃると思いますが、フランスのナチュラルチーズはこのようなチーズとは全く違います。といいますかモンドールのようなチーズが、チーズ本来の姿なのだと思います。つまり、こうした日本のスーパーやデパートなどで売られている死んだ(ミルクにあった乳酸菌などの有益な菌などが死んでいるという意味です。)ミルクを使い、更に人工的に植えつけた白カビだけしか生えていない大量生産のカマンベールなどとフランスのチーズを同じようにお考えにならないことが大事です。何故なら、両者のチーズの製法や原材料が全く違うからです。それが両者の味や見た目の違いであり、これを知れば、モンドールの表面にカビが生えていても動じることなく、モンドールの奥深い味わいを堪能できることと思います。(おしまい)

 


このモンドールチーズは不良品なのか