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注文住宅に必要な建築条件の縛りがない土地を見つけた方法(チーズマーケット新築計画)



今の場所に店を構えて7年が経っていました。生まれて初めてのチーズの輸入と販売の仕事も軌道に乗り、チーズ以外にもワインやオリーブオイルやオリーブなどを輸入しているうちに、在庫しておく量も増えてきました。そこで昨年の4月頃から、「今の店舗を増築するか別の場所に移転するか。」を考えておりました。そんな時、目に留まったのがこの古いアパートでした。

廃屋化した古いアパート。所有者を探す手掛かりは、「栄荘」の名前だけ。


それまでに不動産屋さんを回ったり、新聞チラシや街中の電柱に貼られたポスターからいろいろな土地を探しました。しかし、今の店から半径200m以内のエリアに当てはまる土地は一つもありませんでした。チーズマーケットの近くにあるいくつかの畑の所有者にお願いしたこともありましたが、誰も売ってくれませんでした。仕方が無く最初に手付金を払って押さえたのが、500m離れた新琴似4条5丁目にある土地でした。しかし、ここは豊栄建設というハウスメーカーの土地だったので、土地を買える代わりにこの会社の家を建てなくてはいけないという制約のある「建築条件付の土地」だったのでした。

しかし、これは建てる側にとっては不利な条件だと思いました。各社から見積もりを取って、内容と価格を比較検討することが初めから出来ないのですから。私達は、何とか自分達が選んで決めた会社に建ててもらいたいという気持ちが強かったので、建築条件が無い「自由な土地」を探すことにしました。そんな時、あれは昨年(2005)の5月のゴールデンウィークを過ぎた10日頃に、誰も住んでいないこの古いアパートを見つけたのでした。場所は店から100mほどしかなく、おまけに南西の角地です。私達には、最高の条件の土地でした。

でも、手掛かりは上の写真のアパートに貼られた「栄荘」という名前だけでした。所有者もその電話番号も不明です。そこで、近所の家を一軒ずつ訪ねて、アパートの事を聞いて回りました。幸いこの地域は古くから住んでいる人が多く、所有者が新川駅の近くに住んでいる畳屋さんだと分かりました。しかし、もう畳屋さんを廃業されているとの事で、おばあさんがその近くで一人で暮らしているとのことでした。早速、その日の夕方に教わった新川駅の近くに行き、再び見知らぬ家を一軒ずつ聞いて回りました。するとその内の一軒の奥様が、所有者のお宅をご存知でした。一筋の光が見えてきました。すぐにその家を訪ねましたが、お留守だったので、翌朝再度行ってみることにしました。

翌朝そのお宅を訪ねると、元気そうなおばあさんがいらっしゃいました。その方こそ、以前このHPでご紹介した栄オリさんだったのです。

それにしてもある日突然、見知らぬ男が来て、「古いアパートが建つあの土地を売ってください。」と言っても、直ぐに「いいよ。」という返事はもらえないと思います。それを承知で、これまでの自分のことを話し、新しい店を建てるのに必要なんですとお願いしました。オリさんも実はこれまでにいろいろな不動産業者が来たことがあるそうで、でも結局は「売らないよ。」と断ってきたそうです。理由を尋ねると、「その不動産屋が買うわけではなく、広告チラシを出した後、買いたいお客がいれば初めてお金が入る。」ということだったので、何だか当てにならない話だと思って断っていたそうです。「それじゃー、現金を持ってくれば、売ってくれるんですか?」と尋ねると、「いいよ。」と仰いました。一瞬驚きましたが、何とかお金を直ぐに用意しようと頭の中が一杯になりました。活字にするとこのように短くなりますが、数日間オリさんの玄関先でいろいろな話をしました。結局、初めの日が2時間ぐらいお話をしたと思います。その次の日には座敷に上がらせてもらい、お茶を頂きながら、また2時間ほどお話をしました。その日、買う金額を提示すると、それならOKというお返事を頂いて、後日お金を持ってくることを約束しました。


こうして、プロである不動産屋さんでも買えなかったあの土地を手にすることが出来たのでした。所有権移転の登記をする為に権利書と実印を持って二人で法務局に行って必要書類を自分達で書きました。今回、司法書士にお願いしなかったのでその手数料を節約できました。また、何といいましても不動産屋さんに支払う仲介手数料(40万〜50万?)が無いのでとても助かりました。(土地と建物の不動産取得税と今年度5月以降の固定資産税は必要です。)買う側の私はもちろん売り手のオリさんにもかかりません。売り手と買い手が直接売買出来れば、お互いの為になるなぁーと思いました。(まるでチーズマーケットとお客さんの関係みたいですね。^^))

5月17日に無事所有権移転登記も完了しました。あとは解体屋さんを見つけて、アパートを取り壊します。9月に西区発寒にある井越産業株式会社さんにお願いしました。とても良心的な見積もりでまたまた節約することが出来ました。

こうして、建築条件のない自由な土地に、自分達で建てたい家を建る準備が整いました。これから約1年をかけて住宅に関する勉強をしながら、自分達が建てたい家を実現してくれる会社を探す作業に入ることになったのです。

オリさんとの出会いには、運命を感じます。今振り返れば、これまでも買うことの出来る土地はありましたが、タイミングなどが悪くて買えませんでした。これまでに土地が買えなかった事で、オリさんに出会えたのだと思います。これまでに無理をして買わなくて本当に良かったと思いました。自分のこの先の人生がどうなるのかは、もう既に決まっているのかも知れないと感じさせるオリさんとの出会いでした。ふとオリさんもこう仰いました。「あの土地を買って35年が経った。ちょうど次の世代の人に譲る時期が来たのかもしれない。」と。私も25年後に自分がチーズマーケットを終えたら、次の必要とする人に気持ちよくバトンタッチをしたいと思いました。オリさんとの出会いに心から感謝した2005年となりました。

(追記)土地の所有者を探す件ですが、欲しい土地を見つけたら、法務局で調べられます。まずその土地の位置関係(例;正確な住所が分かれば尚良いです。)をメモして、最寄の法務局に行きます。そこに置いてある地図で位置を確かめ、その土地の地番を調べます。土地の登記簿の閲覧申請(有料です)をして、その地番の登記簿から土地の所有者が分かります。しかし、登記簿には所有者の現住所とは違う事もあるので、記載の住所を訪ねても本人が住んでいなくて連絡出来ないこともあります。そうした場合には、今回のように近所の住人への聞き込みや記載された住所の市役所の市民課で、その土地の所有者の現住所について相談されるといいと思います。


注文住宅に必要な建築条件の縛りがない土地を見つけた方法(チーズマーケット新築計画)