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サントモール・ド・トゥーレーヌから出来るメゾン製の山羊チーズ。



このコーナーは、山羊のチーズのサントモール・ド・トゥーレーヌについて、フランスの中央部に位置するロワール地方にあるチーズ製造現場から写真と共にお伝えしています。今回は、サントモール・ド・トゥーレーヌを作る上で起きる困った事を発想の転換で活かすその方法についてのお話です。


 

1.これまでいろいろなチーズの製造を見てきましたが、これらのチーズとサントモール・ド・トゥーレーヌの製造で最も違う点は、左の写真のように固まったカードをナイフで切り落とす作業があることです。つまり、サントモール・ド・トゥーレーヌを作る度に、要らないカードが少しですが出てしまうのです。これを捨ててしまっては、とてももったいないです。小さな体の山羊は、1頭で一日わずか1リットルほどしかミルクを出すことが出来ないからです。

 

2.そこで、この農家では、サントモール・ド・トゥーレーヌを作る上で出てしまう切り取ったカードを別のチーズの型枠に入れて、この農家オリジナルの新しいチーズを作っているのです。形は左の写真のような円盤形だったり、左下の写真のようにピラミッド型などがあります。

 

3.こうしてサントモール・ド・トゥーレーヌ作りの作業が終わった後で、これらの型枠で形を整えて枠から取り出し、その表面に塩入りの木炭の粉を手で付けて仕上げます。

 

4.そして、これが完成した山羊のチーズです。サントモール・ド・トゥーレーヌのようにAOC規格のチーズではないので、農家の方が自分で好きな名前を付けて、店頭やマルシェに行って販売しています。余ったカードをこうして利用して新しいチーズを作ることは、とても素晴らしいと思いました。同じミルク製なので、味は同じ。しかも値段は割安なので、地元の人もこれを目当てに買いに来る人もいるようです。私も買って食べていましたが、サントモール・ド・トゥーレーヌと一緒で美味しかったです。



今回のサントモール・ド・トゥーレーヌの製造工程を見て感じたのは、このAOCの規定でチーズの長さが決められている為、こうして余分なカードが出てしまうことが残念だということです。チーズ製造は、これまでご覧頂いた様に、全てを手作業で行っている為、一つ一つのチーズの大きさや重さは違っていて当たり前と言いますか、自然のことだと思います。これを私は良しと考えます。逆にこの様にサントモール・ド・トゥーレーヌに長さの決まりがあることには、私は感心しません。その長さに揃えたから、チーズの味が抜群に良くなるというのなら納得しますが、ただ単に伝統があるからだとか見た目が大事という程度でやっていることなら、チーズの長さを揃えるなんて決まりは、止めた方がいいと思います。(30cmから40cmという様にある程度の幅を持たせるのなら賛成です。)でも、日本のきゅうりのようにいろいろなサイズがあると箱に入らないとか、売りづらいとか、結局は「おいしい」ということ以外の理由を優先してしまう事になっている世の中なのか?とも考えてしまいます。


サントモール・ド・トゥーレーヌから出来るメゾン製の山羊チーズ。