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パルミジャーノの作り方2(銅釜からパルミジャーノレッジャーノの原型を出します編)



今回は、銅釜の底に集まったカードを取り出す作業についてお伝えします。とても印象に残ったことは、二人の職人さんはこの作業中に一度も口を開かず、てきぱきと作業をされていたことでした。どの工程も呼吸がぴたりで、正にアイコンタクトだけのようです。沈黙は金といったところでしょうか。




パルミジャーノレッジャーノの銅釜とカードを引き出す櫓のような道具

 

1.この道具が銅釜の底深くに集まったパルミジャーノレッジャーノのカードを引き上げるものです。てこの原理を使ってパルミジャーノレッジャーノ2個分のカードを釜から出すのです。

パルミジャーノレッジャーノのカードを包む麻の布。

 

2.麻でできた布をそれぞれの釜のふちにかけます。後で分かったことですが、この布も作業のたびに交換し、すぐに洗濯をしていました。こういった小さな作業の一つ一つが最終的に大きな品質の差になるのだと思いました。

棒を布に結わえます。

 

3.長方形の布の2つの角を棒に結び付けます。釜の中はまだまだ熱いので、直接手を入れなくてもいいように、棒があるのです。

銅釜の底は2メートル下にあります。かなりの力が必要です。

 

4.いよいよ開始です。マッテオさんが先ほどの長い道具で、銅釜の底を探ります。そしてたまったカードをゆっくりと上まで引き上げていきます。

ゆっくりとその姿を現したパルミジャーノレッジャーノのカード。

 

5.おっと、見えてきました。おからのようなぼそぼそした表面のパルミジャーノレッジャーノカードです。

棒なら手を入れなくても良いので、やけどはしませんね。

 

6.ここで先ほどの布がついた棒を液体の中に入れて、上に上がってきた大きなカードを下に落とさないように布で包み込みます。ともて熱いお風呂ぐらいの温度なので、手は入れられません。

曲芸を見ているような軽快な動きで大きなカードを操ります。

 

7.完全にカードを捕らえました。この間にもう一人の職人さんは、棒がついていない布の別の2つの角を持ちながら、2人が両方向から布を寄せてカードを包み込みます。

パルミジャーノレッジャーノのカードの全体が見えてきました。惚れ惚れするくらい、真っ白できれいです。

 

8.その後一旦このように布を広げ、形が整っているかどうかを確認します。もしも偏った形だと銅釜の淵にカードを押し当てながら、形を整えます。このカードは、いい形だったのでそのまま布で包みます。

全て手作業。こういうのをみるとパルミジャーノレッジャーノの皮のギリギリまで食べようと思います。

 

9.釜の上の渡してあった物干し竿のような道具に布で縛りつけてぶら下げます。

ここまでを行うのに、約3分。熟練した作業の素晴らしさを感じました。同様にして残りの釜のカードも引き上げます。

 

10.水面からあげると浮力がなくなるので、100kg以上の重みが手や腰にきます。力がないと勤まりません。これでパルミジャーノレッジャーノの2つ分のカードが完成しました。




・第1話;「パルミジャーノレッジャーノの外形をぐるっと紹介します。」 


・第2話;「パルミジャーノレッジャーノの表面にあるスタンプや焼印 その1」


・第3話;「パルミジャーノレッジャーノの表面にあるスタンプや焼印 その2」


・第4話;「いろいろなパルミジャーノレッジャーノ。えっ? 」


・第5話;「パルミジャーノレッジャーノになれなかったチーズの保管棚 」


・第6話;「パルミジャーノレッジャーノの牛が食べるもの 」


・第7話;「パルミジャーノレッジャーノの牛の生活 」


・第8話;「パルミジャーノレッジャーノの牛の品種 」


・第9話;「パルミジャーノレッジャーノを作る朝と夕のミルクと銅丸釜 」


・第10話;「パルミジャーノの作り方1(ミルクを銅釜で固めます編) 」



パルミジャーノの作り方2(銅釜からパルミジャーノレッジャーノの原型を出します編)