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パルミジャーノの作り方1(ミルクを銅釜で固めます編)



10回目の今回から数回にわたり、パルミジャーノの作り方をレポートして参ります。日本でもパルミジャーノレッジャーノのようなチーズが誕生することを願っております。



今回は、ミルクを銅釜に入れて固まらせてカードを作るまでの製造工程をお伝えします。銅釜は、3つあり、時間をずらしながら同じ工程を釜ごとに繰り返して行い、合計6個のパルミジャーノレッジャーノに仕上げていきます。では、どうぞ。

パルミジャーノレッジャーノの銅釜とスターター。

 

1.前回のお話のとおり、写真の奥に見える”とい”を伝ってミルクが全ての銅釜に入りました。

パルミジャーノレッジャーノのスターター。

 

2.このバケツは、昨晩から培養していた乳酸菌がたくさん入った特別なミルク(ホエー)です。チーズは乳酸菌発酵をさせて作りますので、どんな乳酸菌を使うかがとても重要です。この乳酸菌は、元々のパルミジャーノレッジャーノを作る牛のミルクにあったものです。スターターともいいます。まず、スターターをミルクに加えて、よくかき混ぜます。

パルミジャーノレッジャーノのレンネット。

 

3.その間にレンネットの準備をします。顆粒状になっているレンネットです。(ミルクを固める働きがある酵素のことです。)

パルミジャーノレッジャーノのレンネットを水で溶かします。

 

4.レンネットに水を入れてよく溶かします。

磨きこまれたパルミジャーノレッジャーノの銅釜。7年前と同じぐらいきれいです。手入れがいいのですね。

 

5.レンネットを銅釜のミルクに入れて、ミルクを固まらせます。銅釜の淵に20とマジックで書いてあるのは、何時何分に入れたかを示すメモです。今の時刻は、7時20分です。

杏仁豆腐のように固まったパルミジャーノレッジャーノのカード。

 

6.レンネットを入れてしばらく寝かせます。20分もしないうちに、お豆腐のように表面が固まってきました。釜の上に置いてある道具ですが、手前のほうは針金を球状に巻いたカードを切る道具です。その右にある船のスクリューのような白いものは、電動で釜全体をかき混ぜる道具です。

パルミジャーノレッジャーノのカードをどう切るかでも味が変わってきます。

 

7.いい時間となりましたので、カードを先ほどの道具でやさしく切っていきます。釜は、2mぐらいある深さですので、底のほうまでかき混ぜるには相当な力が要ります。

カードとホエーが分かれて見た目が白から黄色に変化しているのがわかります。

 

8.温度計をさして計ります。今は31度ぐらいです。この銅釜の側面には、蒸気がぐるりと回るようになっています。バルブを開き、徐々に釜の温度を上げていきます。コンテの製造工程でもありましたが、硬質・超硬質チーズにするためには、カードから余分な水分を抜くために、このように高温にしてカードを煮るのです。(この工程をクッキングともいいます。)

ホエーが黄ばんできました。そろそろ完成です。

 

9.パルミジャーノレッジャーノチーズ職人のマッテオさんが、お玉でカードをすくい、その粒の大きさと水分の抜け具合を何度か確かめます。

今は蒸気で釜の温度を上げていますが、昔は釜の底にまきをくべていたそうです。

 

10.さらに温度を上げていくと50度ぐらいになりました。バルブから蒸気が出てきて、カメラも曇ってしまうほどでした。この後バルブを閉め、温度をゆっくりと下げていくと、パルミジャーノレッジャーノのカードが完成します。カードは重みで銅釜の底の細長い部分に集まってきます。




・第1話;「パルミジャーノレッジャーノの外形をぐるっと紹介します。」 


・第2話;「パルミジャーノレッジャーノの表面にあるスタンプや焼印 その1」


・第3話;「パルミジャーノレッジャーノの表面にあるスタンプや焼印 その2」


・第4話;「いろいろなパルミジャーノレッジャーノ。えっ? 」


・第5話;「パルミジャーノレッジャーノになれなかったチーズの保管棚 」


・第6話;「パルミジャーノレッジャーノの牛が食べるもの 」


・第7話;「パルミジャーノレッジャーノの牛の生活 」


・第8話;「パルミジャーノレッジャーノの牛の品種 」


・第9話;「パルミジャーノレッジャーノを作る朝と夕のミルクと銅丸釜 」



パルミジャーノの作り方1(ミルクを銅釜で固めます編)