こんなに違うオリーブオイルにするオリーブの実 |
今回の話題は、「高品質のオリーブオイルを作るには、原料になるオリーブが大切」というお話です。スモークガラスのボトルに詰められ、小奇麗なラベルが貼られて店頭に並ぶとどれも美味しそうに見えますが、個々のオリーブオイルがどう生まれてきたのかは、千差万別。一般消費者には見えないオリーブオイルが出来る様子をイタリアのシチリア島の生産現場の取材から解説します。 |
1)オリーブオイルにするオリーブの質が良い |
まずは上の2枚の写真をご覧下さい。そのオリーブの色や大きさ、艶はどうですか? 惚れ惚れするくらい綺麗だと私は思います。これまでに数ヶ所のオリーブオイルの搾油場(イタリア語ではFrantoioとかOleificioといいます。)を見てきましたが、誰が持ってくるかでそのオリーブの質は全く違います。こうした良いオリーブを収穫して搾られたオリーブオイルは、この下にある写真の様に玉露のお茶のように綺麗な緑色をしています。 |
2)こんなオリーブでオリーブオイルを作る人もいます。 |
ところが、人の考えはいろいろで、上の右写真の様な品質が低いオリーブを使ってオリーブオイルを搾る人たちもいます。うーん、このオリーブは相当ひどいですね。もはや食用には適さないので、オリーブオイルを取り出そうとしているのです。一方、上の左写真をご覧下さい。これは、当店で輸入しているHS(ハイスタンダード)のオリーブオイルの農園での収穫時のひとコマです。手のひらにあるのは、オイルに適さないと判断されたオリーブです。枯れて干からびたオリーブはもちろんですが、虫に食われたもの、枝などに当たって傷がついたもの、オリーブの表面の一部分が変色したものなどを容赦なく取り除きます。手作業なのでとても時間がかかりました。この写真の右端にすこし見えるのが、この農園でオリーブオイルの原料として認められるオリーブです。如何ですか? どれも緑色をしたオリーブばかりであることが分かりますね。選別する時間をかけたくないと思えば、右の写真の様な品質の悪いものになってしまうのです。 |
3)では、ここで問題です。 |
下の2枚の写真で、高品質なオリーブオイルが搾れると予想されるのは、右と左のどちらでしょうか? |
それは左側の方です。理由はオリーブの質が揃っていると考えられるからです。どれも収穫したばかりの新鮮な緑色をしたオリーブを使っていますね。下にあるのは、この2つのオリーブから搾られたオリーブオイルです。如何ですか? 左の方が緑色をしていて美しいですね。味ももちろん左の方が香りもはっきりとしていて美味しかったです。それは、緑色のオリーブは完熟していないので、それだけ酸度(オリーブから遊離した脂肪酸の量のことです。;低い方が良いオリーブオイルとされます。)が低く、風味がよく表れた新鮮なオイルだからです。 |
(ご注意)こうした緑色のオリーブを搾れば、その搾りたてのオリーブオイルは葉緑素の色でこのように美しい緑色になっています。しかし、この色は時間と共に薄れていき、次第に黄色味を帯びてきます。最終的にオリーブオイルをボトルなどに入れた段階では、このようなはっきりとした緑色のものはほとんどありません。ですから買われたオリーブオイルが緑色をしていないからといって、品質が低いとがっかりするのは違います。また、オリーブの品種によっては、緑ではなくて茶色になってからの、或いはほとんど茶色をした時のオリーブを搾っている場合や生産地域もあるようです。(でも私達はこうしたオリーブオイルは輸入しません。)今回取材しましたイタリア・シチリア島の話に限りますと、トンダイブレア(Tonda Iblea)種、モレスカ(Moresca)種、ノッチェラーラ・デル・ベリーチェ(Nocellara delBelice)種などを使ったオリーブオイルの搾油でした。こうした品種では、オリーブが緑色をした若い段階で収穫をして使うことが多いようです。そうすることが高品質のオリーブオイルになることが分かっていて、それでもあえてこのように緑色を過ぎた、完熟しすぎた、傷が多い、ハエに吸われて穴があいたオリーブの実などで搾油する、”品質よりも収量を求める”人達やメーカーも存在しているのです。 |
私達はこれからもこうした品質を重視する顔の見える生産者が搾油した高品質のオリーブオイルの輸入できるように生産地域を見て回っていこうと思います。 |
こんなに違うオリーブオイルにするオリーブの実 |