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長期熟成したミモレットに合うお酒とは?ミモレットの生産者のお勧めはポート酒です。



8月(2005)にフランスの北部、リール市近郊にあるミモレットの熟成を専門に行なっているチーズ会社を訪問しました。今回はその時に出されたミモレットに合うお酒についてのお話です。

Mr Carles Losfeld 氏と美奈子店長。

まず上の写真をご覧下さい。この方は、Losfeld 社の社長のカルルさんです。とても余裕のある穏やかな顔立ちで、上品なお顔でした。顔はその人のこれまでの人生を物語っていると思いますが、お話しなくても言葉が余り通じなくても初対面の時から、素敵な方だなぁと感じていました。さて話がそれましたが、カルルさんが地下のチーズ熟成庫を丁寧に案内してくださいました。8月の訪問でしたが、庫内は2度から4度ぐらいでとても寒かったです。こちろん私達はタイツと薄手のセーターを着込んでいました。このミモレットの工場に詳細は、また別の機会にご紹介します。2時間ほどの取材を終えて、地上に戻りますと、白いテーブルに熟成の違う2つのミモレットとお酒が置かれていました。そうです、お待ちかねの試食の時間です。一体、どんなお酒を合わせるのかと見ると、それはポート酒でした。

オールドミモレトとポート酒

下の写真で右は14ヶ月、左が18ヶ月熟成させたミモレットでした。以前からメルマガなどで私は熟成期間が長いほどおいしいチーズになるとは限らないと何度か申し上げておりましたが、今回もその思いを新たにしました。私も美奈子店長も若い方がすっきりしていて好きでした。チーズを食べながらポート酒を口にしますと、なるほどミモレットのほろ苦さとコクが甘くて濃厚なポート酒とお互いの不足しているところを埋めるかのようにぴったりと重なり合うような調和がありました。


オールドミモレトとポート酒

私はワインはいろいろ持っていますが、ワイン以外のこうしたお酒をキープしていることはありません。でも、今回の経験でワイン以外のお酒にも興味が沸きました。これまで数年間で、いろいろなフランス人の一般家庭に招かれてお食事を頂いたことがありますが、彼らはチーズだけではなく、いろいろな種類のお酒も楽しんでいることを知りました。ポート酒やグラッパなどの高アルコール度のお酒は、栓を開けても比較的長く保存が出来るので、数種類のお酒をサイドボードなどに入れておいて、毎日の食前酒や食後酒としていろいろなお酒を楽しんでいるようです。盆、正月、クリスマス。そして誕生日など特別な日ではなくても、日常から食を楽しんでいるのが素晴らしいです。

誤解をされるといけませんので一言申し上げますが、このようにワインだけではなくて、いろいろなお酒も揃えることが幸せだとか、素晴らしいとかというようなことを云っているのではありません。どんなにたくさんのお酒やチーズが揃っていたとしても、人によっては楽しめない人もいると思います。またここで「ミモレットはポート酒しか合わない。」と云っているのでもないのです。チーズもお酒もいや全てにおいて、それを楽しめるかどうかの鍵は、物があることよりも心のゆとりなのではないかと思います。また、それらをどのように楽しむかは人それぞれで違っていいと思います。ルールは無いのです。彼らはお酒やチーズの合わせ方を自己流で実践して楽しんでいるのだと思います。うまくいくこともそうでないこともいろいろと経験しますが、失敗も成功もそれ自体がもう楽しくて楽しくて仕方無いことなのだと思います。食べる事に興味関心が高いのです。自分で考えようとしないで、ただ人から聞いたことだけをやっているのではなくて、常に自分が主役で自分で考えて工夫していろいろな組み合わせを楽しんでいるような気がします。それが食べることが好きなフランス人の本質なのかも知れません。この話をきっかけに、「チーズにはワイン。」という日本で言い古されている固定観念を棄て、いろいろなチーズとお酒、あるいはさらにお酒の世界から飛び出して、紅茶やコーヒーなどとの組み合わせを自由に楽しんで頂ければ幸いです。美味しい組み合わせがありましたら、教えてくださいね。


長期熟成したミモレットに合うお酒とは?ミモレットの生産者のお勧めはポート酒です。