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--------------Cheesemarket.jp mail news 2003 vol.20 -------------
☆☆☆札幌チーズマーケットからのメールマガジン☆☆☆
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-------------目次-------------
1)チーズの外皮は食べられるのか?
---------------------------2003/12/18---------------------------
こんにちは。今年もあと2週間。今年もお世話になりました。来年も
どんどん海外へ行き、たくさんの人に会い、日々チーズの手入れをし
て、自分の能力を磨いていきたいと思います。そしていいチーズや食
品をご紹介できるようにしてまいります。
さて、今回は次の1本です。
1)チーズの外皮は食べられるのか?
タイプ別にまとめてみました。参考になればとてもうれしいです。
--------------1)チーズの外皮は食べられるのか?------------------
チーズの食べ方などについて、日本の消費者の方々は、すぐに何か方程式
のような簡単ですっきりするような解決策を求められることが多いですが、
多種多様なチーズの全てに当てはまる方法が一つであるはずがありません。
これからお話しすることには、例外がたくさんあります。
大事な事は、こうしたアウトラインを認識しつつ、実際にどんどんチーズ
を食べて自分だけの食べ方を身につけていくしかありません。
では、私のアウトラインをお話します。
その1;ハードチーズの外皮は、ほぼ100%食べない。
ハードチーズは、食べません。それが包装紙であったり、ワックスであっ
たり、ロウであったりした時はもちろん食べませんが、そうした別の物質
ではなくて、もともとチーズだったのが、自然に硬くなり、変色して出来
た外皮であっても、食べません。理由は臭かったり、美味しくないからで
す。
1例えば、オールドミモレット。
この外皮には、粉ダニがいます。なので中のオレンジ色の美味しいところ
だけ頂きます。
2例えば、パルミジャーノ・レッジャーノ。
外皮は、包丁の峰側で少し(1ミリ程度)そぎ落とします。理由はごみや汚
れを落とす為です。外皮近くの部分は余り味も良くないので、粉チーズにし
て使います。(おいしい中側は、手で割ってサイコロ状して食べます。)
3例えば、アッペンツェラー。
こうしたスイスのチーズは、外側を塩水などで拭いて洗います。ハードで
ありながら、ウオッシュタイプでもあるのです。よって、この外皮を食べる
と以上に臭いです。なので食べません。
4例えば、プロボローネ。
このチーズには、外側にロウが塗ってあります。なので食べません。
その2;やぎのチーズの外皮は、ほぼ100%食べる。
はい、全部食べます。これまで自分達が輸入したり食べてきた全てのやぎ
のチーズの写真を見直しましたが、やぎ乳でハードタイプのチーズ以外は
全て食べてもいいと思います。といいますか、やぎのハード以外は、その
ほとんどがわりと柔らかく、皮と呼べるようなものはあまりありません。
自然に外側が乾燥して、なんとなく切り口を見ると皮のように独立した部
位に見えますが、もともとこうしたやぎのチーズの外側には、ウオッシュ
(洗う)などのような事は何もしていないので、全て食べられるのです。
また、セル・シュール・シェールのように外側に黒い灰がまぶされている
ものもありますが、これらの灰も含めて、全部食べられます。
その3;フレッシュチーズには皮が無いので、全て食べます。
リコッタやマスカルポーネ、フロマージュブランなど流動性があります。
皮は出来そうにありません。^^)
また、モッツァレラも皮らしきものもありますが、もし出来る頃まで待っ
ていたら、腐敗してしまいます。早めに食べるのがフレッシュチーズを味
わうコツです。
・・・ということは、この3つ以外の分類のチーズは、・・・?
勘のいい皆様ならもうお分かりかと思いますが、食べたり、食べなかった
り様々だということなんです。これからがむずかしくなります。
では、続けます。
その4;ウオッシュチーズの外皮も80%ぐらいのチーズは食べない。
次にウオッシュタイプのチーズです。先ほどの例でもありましたが、原則
食べないと思った方がいいと思います。
唯一、食べるウオッシュとしては、外皮が柔らかいチーズです。例えばエ
ポアスやシャンベルタン、スーマントランなど切るというよりもスプーン
ですくうほど柔らかいウオッシュは、食べます。(食べなければならない
といっているのではありません。)ちょっと苦手という事でしたら、食べ
なくていいんです。外皮は、匂いも強いです。それが好ましくない場合に
は中のところだけ食べた方がいいと思います。
1例えば、ルブロッション。
当店では、これをウオッシュタイプに入れていますが、セミハードのよう
な硬さです。ゆえに私は食べません。
2例えば、タレッジョ。
タレッジョの外には、片栗粉の白い粉がまぶしてあります。これは、熟成
中に外側に青カビが付くのですが、これを付けておくと、本体のチーズに
は青カビが付かないからです。イタリア人にとってタレッジョは、カマン
ベールのような柔らかいチーズというイメージがあります。
なので若いそれは、外皮も食べます。でもそのカマンベールに、もともと
無かった青カビが付いていたら、あなたはそこも食べますか・・・?
だから、こういうチーズは皮を外しておしいい中だけを食べるようです。
ウオッシュ独特のねっとりとした外皮は美味しいものではありません。要
は、その状態を見て、若いようなら食べ、別のカビなどが生えているよう
な皮の場合、食べない方がいいでしょう。
あ、ここでやぎのチーズにちょっと話を戻します。先ほど全てやぎのチー
ズは、食べると申しましたが、このタレッジョのように熟成したやぎチー
ズにも外側にいろいろなカビが生えているものがあります。私はこれは食
べます。チーズマーケットからこうしたやぎのチーズが届いた場合には、
安心してお召し上がりください。とっても美味しいですから。
でも、これは私達が毎日、こうしたやぎのチーズを観察し、時にカットし
て味を見ているから、これはいいカビだとかが分かるのです。
購入後に新たに外皮に生えてきた別のカビの部分を食べていいかどうかは、
実物を見ないと判断できません。その部分だけをナイフで取ればあとは全
て美味しく食べられるかと思います。
こうしたあとから生えてくるカビの良し悪しは、説明しにくい部分なので
す。時間を見て、改めて補足したいと思います。
話を元に戻します。
3例えば、リヴァロやポンレヴェックやマンステール 。
この類も皮は外します。私は食べません。美味しくないからです。
4例えばルジェット。
これは、全部食べます。外皮も べとべとしていませんし、ねっとりもし
ていないからです。青カビなどが付いていない綺麗なカマンベールは、
全部食べるのと同じ理由です。
5.例えばエジー・サンドレ
このチーズには外皮には灰が付いています。なので食べません。この灰は
じゃりじゃりしてます。まるで砂を食べているような感じです。でも、中
身はびっくりするほど柔らかくておいしいです。
その5;青カビのチーズの外皮も70%ぐらいのチーズは食べない。
まず、ゴルゴンゾーラは、100%食べません。しかしゴルゴンゾラとマ
スカルポーネが地層の様に折り重なっているデュエットというチーズは、
もともとその外皮を外してあるので、全部食べられます。
次にやや固めの青かびチーズ、例えばスティルトンやブルー・ド・ジェッ
クスなどがこれに当たりますが、明らかに外皮がありそうなので、念のた
め食べない方がいいでしょう。スティルトンは、外皮がしっとりしていて、
粉ダニもいます。食べない方がいいでしょう。
次にやや柔らかめのブルーチーズですが、例えばブルー・デ・コースやロ
ックフォールやサンタギュールなど。こうしたチーズは、全部食べていい
と思います。
さらに柔らかいロッシュ・バロンやカンボゾラ・ブルーなどまるでカマン
ベールのような柔らかさの、また青カビといってもほとんど青カビが入っ
ていないこうしたやさしいチーズは、全部食べていいでしょう。
ここでまとめると、
1.青カビチーズで食べないのは、ゴルゴンゾーラやスティルトンなど、
比較的外が硬いタイプのチーズは、その外皮は食べない。
2.青カビチーズでもやわらかいものは、外皮を食べてもOK。
こんな感じです。
その6;白カビのチーズの外皮も食べる食べないは半々ぐらい。
以前、私が初めて輸入先のフランス人の方に聞いたことがありました。
「あのー、カマンベールって外の皮まで食べるのですか?」と。すると私
と同じ歳のEさんは、「うーん、そうだね。僕は食べないけど、爺さんは
食べるなぁー。妻も食べるけど、娘達は食べないなぁー。」とおっしゃい
ました。
つまり、この食べる食べないは、一人一人の個人的な嗜好の問題なんだっ
てことなのです。私も風味が弱い若めのブリー・ド・モーなどは、全部食
べます。でも、熟成してきて、白いところも徐々に赤みを帯びてくるよう
になると、風味もかなり強くなりたくあん臭くなってくるので、時には外
側を外して食べます。でもそんな風味にあう赤ワインを飲むときは、全部
食べます。
なので、同じチーズでもその熟成の違いで食べたり食べなかったりするの
です。ある意味、白カビのチーズは、もっとも食べる食べないの意見が分
かれるチーズなんだといえると思います。
要は、外皮まで食べて美味しいかどうかです。
また、異物(ロウや紙、ワックス)の外皮を口にするのは、論外ですが、
そうしたもの以外の外皮を食べても健康には、全く影響ありません。もと
もとチーズだったのですから。
知っておいて頂きたいのは、ハード系のチーズは、必ず外皮の部分を取り
除いてから食べて欲しいということなんです。
以前、ある方から山本さんお勧めのアッペンツェラーを食べたら、とても
臭くて食べられなかったと云われました。あんな臭いものをスイス人は一
体どうやって楽しんでいるの?・・・と疑問に思われたようです。
私は驚きましたが、聞いてみると案の定、外皮まで食べていたようでした。
さすがに私もあのウオッシュされて強い臭いの皮は食べません。
でも、こうした失敗もしてみると、はて? と思い、考え次回に活きてくる
んだと思います。だから余り私も詳しくお伝えしない方がいいのかもしれ
ません。
「チーズの世界は、深く広い。だからとってもおもしろい。」
という事で、今回はこれくらいで。
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店主敬白
山本 知史
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