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青カビのチーズが苦くても問題ない場合



今回は、時々取引先の飲食店さんから寄せられる質問の中で、年に数回質問を受ける「青カビの苦さ」についてお話したいと思います。

イギリスの青カビのチーズです。左がシュロップシャーブルー、右がスティルトンです。

まず、上の写真の2つのチーズは、イギリスの青カビのチーズです。左がシュロップシャーブルー、そして右がスティルトンです。この写真の状態ですが、輸入して間もない若めのチーズです。こうした状態の場合に人によっては、「苦味(にがみ)」を感じることがあるようです。結論から申しますと、こうしたイギリスの若めの青カビチーズを食べて、「苦味を感じたとしてもそのチーズの品質には何ら問題ありません。」ということです。安心してお召し上がり頂けます。と云いますのもこうした苦味は数日経つと不思議と消えるからなのです。つまり一時的な風味だからです。ずっと苦いのは問題がありますが、チーズが若いという理由での苦さは問題ありません。しかし何故、青カビのチーズが若いと苦味を感じるのか? また、何故苦味が数日後には消えるのかとういうメカニズムは今の私には分かりません。しかし、八年の経験からこうした事が度々あることが分かりました。(苦いというよりは、若いチーズでは乳酸菌の働きが活発で酸味がやや強く残っているために、それが苦さを強調させているのではないかと考えています。)イギリス以外の青カビなど全ての青カビのチーズを調べたわけではありませんが、写真のような青カビチーズの場合にはあるのです。また、「苦い」や「酔っ払う」は良くないですが、「ほろ苦い」や「ほろ酔い」は問題ない様に、苦さが全て駄目なのではなくて、苦さの程度が問題だと思います。私は、「草のような香りでほろ苦く、全体としてバランスがよく、うまみをよく感じる。」のが青カビチーズの一つの理想の味わいだと思います。
 
しかし、今回のお話は例外中の例外というものです。一般的にチーズの味に苦味があるというのは、良いことではありません。チーズで後々苦味が出てくるのは、主に青カビやウォッシュ、ハードチーズなどです。また、白カビのチーズでよくあるアンモニア臭が激しい場合、また全てのチーズにおいて「えぐみ」がする、舌がビリビリするなどがあれば食べるのは止めたほうがいいと思います。でもこうした本来の味や香りと異なるチーズは、今回の例のようにきちんとした品質管理をしたチーズや輸入したての若いチーズでは在りえません。そうした味がするチーズは、劣化しているのです。チーズ本来の味を失ったものは、輸入方法や日本国内で流通経路の問題、あるいはチーズの温度や湿度、包装の仕方などが主な原因です。例えば、回転が悪い店では、売れずにずっとチーズが同じ包装紙で包装されて放置されています。そのような状態で時間が過ぎれば、自然とチーズの品質は落ちていきます。通常なら消費期限が近づくにつれて美味しくなるのがチーズですが、管理の方法が悪ければ消費期限を待たずして劣化して美味しく食べられないチーズがあることも見受けられます。
 
また、青カビのチーズを食べて味が変だという方がいらっしゃいますが、そのほとんどがチーズ外皮まで食べたことが原因であることが多いようです。ここで改めて確認しますが、青カビチーズとハードチーズ、セミハードチーズはその皮は食べません。(食べられません。)また、ウォッシュタイプのチーズも外皮をナイフで外して食べるものが多いです。何故食べないのか? 理由は簡単です。皮は美味しくないからです。また、皮がチーズではなくワックスだったり、紙だったりと食べられない素材で出来ている事もあります。しかし、チーズの皮といいましてもカマンベールなどの柔らかい皮の場合には、人によって食べる食べないが違ってきます。つまり個人的嗜好で変わってきます。以前に書いたメルマガ(チーズの外皮は食べられるのか?)も参考にしていただければ、より詳しく分かると思います。
 
チーズの世界は思った以上に深く、興味をそそられています。年々私の心の中に占める割合が多くなっていく気がします。私があと何年チーズマーケットを続けられるのかは分かりませんが、日々チーズを手にして見つることを続けながら、チーズの世界の真実を行ける所まで突き詰めてみたいと思っています。



青カビのチーズが苦くても問題ない場合