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チーズ図鑑モンドールの話(表面が波打っている理由)



モンドールは、セラー内にある時は、下の写真のように表面は平らです。しかし、お店で売っている箱に入ったモンドールの表面は、その下の写真のように平らではなく、波打っています。今回は、モンドールチーズの表面がどうして波打っているかの理由についてのお話です。

セラーで熟成されていたモンドール。もちろん表面は、まっ平らです。


プーレさんのヴァシュランは、とてもおいしかったです。

それでは順を追って解説します。下の左の写真をご覧下さい。まず、モンドールを出荷するのにモンドールを丸ごと箱に入れなければなりません。その為にモンドール本体にぐるりと巻かれている樅の木の樹皮の一部を右の写真のようにナイフでカットします。樹皮の一部を切ることで、モンドールの外周をせばめることができて、チーズの直径を箱よりも小さくすることが出来るのです。


ナイフで樹皮を切り取るお姉さん。 樹皮を切り取られたモンドールを並べます。


次に下の左の写真のように、モンドールを箱に片側から入れます。(切り目を入れた部分と反対側の所から入れます。)そして、右の写真のようにして切り目を入れた部分を最後に押し込んで、全てを箱に入れます。つまり最後に箱に入った部分は、樹皮を切り落とした所なのです。(両指の間の部分のモンドールの表面が盛り上がっていますね。これが切り目を入れた部分であることを示しているのです。)


今まさに箱に入れられるモンドール。 うーん、決まりました。すっぽりと箱に収まったモンドール

それでは、問題です。下の写真は、プーレさんのモンドール(正確な名称は、ヴァシュラン・フェルミエといいます)です。では、この写真で最後に箱に入れた部分はどこら辺でしょうか?

農家であり、チーズ製造もするプーレさんのチーズ。

正解は、奥さんの左手の親指の辺りです。なぜなら、この部分のチーズの外周のところが、もっとも歪んでいますね。逆に板に近い下の方は、歪が無くて平らです。つまり、この部分を先に箱に入れ、最後に左親指辺りにある部分を箱に入れたことが分かります。奥さんの左親指辺りには、きっと樹皮の切った跡が見つかると思います。何だか、名探偵コナンくんのようですが、このように形が変わっているのには、それなりの理由があるので、こういうところに目を付けて見てみると、それぞれのチーズにも違った発見があるかもしれませんね。


最後にブラッシングされるモンドールチーズ 働くお母さん達は、みな元気そうでした。モンドール効果?


さて、無事にモンドールが箱に収まったところで、最後に表面をブラッシングします。これは、表面に付いたいろいろなカビを取り除く作業です。こうして肌色のきれいなモンドールチーズ本来の色が顔を出し、いざ出荷となるのです。(下の白いモンドールと比べるときれいで美味しそうですね。)


やや形がいびつなモンドールチーズ

(補足説明)上の写真のように例えモンドールが曲がっていてきれいな円形でなくても、先のような作業工程を行えば、きちんとこのモンドールも丸い木箱に収まるのです。


チーズ図鑑モンドールの話(表面が波打っている理由)