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チーズのモンドール、表面の白いカビはどうして生えたのか?


左下の写真のように買ったモンドールの表面には、カマンベールの様に 白いカビが付いていることがあります。一方同じモンドールでも右の様に表面につやがあるものも あります。どちらがいいのでしょうか? また、一体このカビはカマンベールのように白カビを吹 き付けられて出来たのでしょうか? それとも。・・・。今回は、こうしたカビのお話です。


真っ白いカビが生えたモンドール。これもモンドールなの? これがプーレさんの3キロのヴァシュラン・フェルミエです。


ではまず、下の写真をご覧下さい。左側のチーズは、モンドールと呼べ無いほどの初期の段階です。牛乳を固めたカードを枠に入れて、エピセアの樹皮で縛ってモンドールの形になったばかりです。(大きな輪ゴムで留めてあります。)その表面は木綿豆腐のように柔らかく、牛乳の色がそのまま出ています。もちろん、どの面にも白カビなどはありません。

 

一方右のチーズをご覧下さい。これは出荷間近のモンドールです。左の写真には無かった白カビらしきものが表面や側面の樹皮にも付いています。・・・ということは、これら2つの写真の間の製造過程でカビが付いた原因がありそうです。

 

出来立てのモンドール。食べてもおいしくありません。 そろそろ出荷できそうなモンドール。


下の2枚の写真は、モンドールを熟成させる倉庫です。左の写真には赤いブラシのようなものが見えます。これでカビを表面に付けていたのか?・・・いいえ違います。これは、塩水でモンドールの表面をウォッシュ(洗う)ためのブラシなんです。そのほかに白カビを付けるような道具は見当たりませんでした。実は、この熟成庫の空気中にあるカビが、モンドールについてカビが徐々に成長するのだそうです。チーズメーカーの職人さんによりますと、この熟成庫も新築したての頃は、空気中のカビも少なく、モンドールにこのカビがあまり生えず、いいモンドールにはならかったそうです。幾段もの樅の木の台にモンドールを並べ、湿度と室温も高めにしてしばらく放置すると、モンドールにいいカビが生えてきて、また熟成庫もよくなるそうです。いいコンディションの熟成庫になるためには、新築してから最低でも1ヶ月はかかるそうです。(補足;左の写真の下に見えるのが塩水の入った白いポリバケツです。)


モンドールのセラーの中は湿気が十分です。 てきぱきはたらくおばさま達。穏やかな顔をしています。

ここでまとめますと、「モンドールは、表面を塩水で洗って作るウォッシュタイプのチーズで、時に表面に白カビが付いている場合もありますが、それは、熟成室の空気から付いたカビであり、カマンベールなどの白カビを吹き付けるタイプとは、違うタイプのチーズです。」ということです。

 

では、一番上の写真右のモンドールの表面が白くないのは何故か?

 

それは、この下の写真のように出荷する時に、別のブラシで表面の白いカビを取り除いていたからなのです。(見た目を良くする為に。) すると、このように肌色のおいしそうな色の表皮が見えてくるのです。



お化粧中のモンドール。柔らかいブラシでカビを取り除きます。


このあと、パリのランジス市場に運ばれます。時間とともに表面のカビはおいしいモンドールの上にのっているのでより成長を早め?、次第にまた表面が白くなっていくのです。現地のスーパーでも、表面に白いカビのついたモンドールが数多く売られていました。

 

表面が白っぽいモンドールと肌色をしたモンドール。どちらも正常なモンドールと云えます。もちろん、この表面もカビごと食べられますので、ご安心ください。



すっかり化粧を終え、出荷を待つモンドールチーズ。


チーズのモンドール、表面の白いカビはどうして生えたのか?