|  TOP  |  お買い物方法 | カマンベール・ド・ノルマンディーAOCの解説 | 仕入れの旅 | ノルマンディー地方のチーズ旅2005 |

カマンベール・ド・ノルマンディーAOCの作り方3(ルーシュで型枠にカードを入れます。)



2005年8月中旬に、フランスのノルマンディー地方にあるカマンベール・ド・ノルマンディーAOCのチーズ工場一つのREO社を取材しました。3回目の今回は、ミルクにレンネットを入れて固まったカードを型枠に入れる製造工程を見ていきます。




自然光と蛍光灯でとても明るい作業室。

 

1.この部屋でミルクを固めたカードをカマンベールの型枠に入れる作業をしています。朝早くから8人ほどの職人さんが作業をされていました。

カマンベール・ド・ノルマンディーAOCのカードを切る道具。

 

2.写真は作業台に置かれたカードを切る道具です。刃が6枚付いていて刃と刃の間は広く5〜6cmほどありました。パルミジャーノレッジャーノの様な超硬質のチーズと違い、軟質のチーズのカマンベールでは、カードを余り細かく切りません。

さっさっと切っています。切る時間は6秒もないくらいです。

 

3.この写真が実際にカードを切る時の様子です。カードに上からこの道具を刺して、自分の体から見て縦切りを3回、横切りを3回の計6回ぐらいでカードを切っていました。(水平方向には切れません。)

カマンベール・ド・ノルマンディーで使うルーシュ。

 

4.このお玉、いやフランスではルーシュと呼びますが、この道具を使って、切ったカードをカマンベールの型枠にすくって入れていきます。

いつも笑顔の美奈子店長も、この時ばかりは緊張した顔で取り組んでいました。

 

5.美奈子店長も実際にやらせてもらいました。ルーシュにカードが入るとぐっと重くなり、特に体から遠い位置にある型枠に腕を伸ばして注ぎ入れる時には大変だとのことでした。

同じ姿勢をとっての作業なので腰が痛くなりそうです。

 

6.プロにバトンタッチです。さすがに無駄な動きがありません。秒針のように規則正しく、また同じ量のカードが型枠に次々と入れられていきました。

アルミ製の型枠。チーズマーケットにも一つ展示してあります。ブルネ工場長から頂きました。

 

7.型枠に入ったカードの様子を見て見ましょう。水分を多く含んだ絹ごし豆腐のようです。型枠は、アルミミウム製(直径11.5cm、高さが13cm)です。あれっ、ここで疑問が沸きました。上の写真を見るとカマンベールの型枠がアルミ製とプラスチック製の2種類がありますが、どう違うのでしょうか?

私がデジカメ担当、美奈子店長がメモ係りです。

 

8.さっそく、ブルネ工場長に質問すると・・。カマンベール・ド・ノルマンディーAOCにはこのアルミ製の型枠を使い、それ以外の普通のカマンベールには、プラスチック製の型枠を使うとのことです。

まきすの様な敷き物。この模様がカマンベール・ド・ノルマンディーAOCの表面に付いていたのです。

 

9.また一つ私が疑問に思っていたことがこの写真で解けました。「カマンベール・ド・ノルマンディーAOCの表面と裏面に付いている模様はどうしてできるのか?」ということを。そうです。このような繊維で編んだ敷き物のようなものを型枠の下に敷いてあるので、カードが自分の重みによって、この繊維の模様がカマンベール・ド・ノルマンディーAOCの両面に付くのだと納得しました。(カードから水分が抜けると、型枠をひっくり返して表裏を逆にしています。)




(感想)この工程を終えて、ようやくカマンベール・ド・ノルマンディーAOCの形になりました。それぞれの職人さんが自分の作業台の全てのカマンベールを一人で手がけ、各自の番号を付けているので、品質に対して責任を負うことになります。またそれがより良いもの作るという励みにもなっているようです。この工程の次には、塩をふりかけ(ソルティング)、白カビを吹き付けて白カビによる熟成工程に移ります。


カマンベール・ド・ノルマンディーAOCの作り方3(ルーシュで型枠にカードを入れます。)