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カマンベール・ド・ノルマンディーAOCの作り方2(レンネットでミルクを固まらせます。)



2005年8月中旬に、フランスのノルマンディー地方にあるカマンベール・ド・ノルマンディーAOCのチーズ工場一つのREO社の取材に行きました。2回目の今回は、前回まででチーズにする為のミルクの準備が整いましたので、このミルクにレンネットを入れて固まらせる製造工程に進みます。




130Lのタンクが50個ほど並ぶ部屋です。暑いので職人さん達はみな半袖姿でした。

 

1.この部屋でミルクを固まらせます。部屋の温度は高いです。冬服の私達はすぐに汗をかくほどです。

白い棒を上から押すとスプレーになってレンネットが注がれます。

 

2.この写真に見えるのが、ここで使う道具の一部です。中央にある茶色いのはレンネットをタンクに入れるスプレーです。赤と緑の札は、各タンクにぶら下げていつ仕込んだのかが分かるようにしています。

手際のよい職人さん。写真を撮るので止まってくれました。

 

3.まず、ミルクを固める酵素のレンネットをタンクに入れます。タンクの大きさは130リットルだそうです。

タンクの側面を触るとミルクが入ると共に温かくなってきました。

 

4.次にホースを使って脱脂乳を入れます。センサーが働いていてタンク一杯になる前に自動停止する仕掛けになっています。ミルクは酵素が働きやすいように35℃に温められています。

このタンクは、全て熱湯の自動洗浄機で洗われていました。

 

5.掻きまぜ棒でよくミルクを攪拌します。(酵素を働かせるにはミルクの温度のほかにpH(酸性ー中性ーアルカリ性)も重要です。前日に脱脂乳に乳酸菌を入れて培養したので、ミルクのpHも酸性になっていると思います。)

別のタンクにミルクホースを移します。

 

6.タンクにミルクが一杯になったので、次のタンクにホースを移します。

いつ仕込んだのかが分かる札です。

 

7.レンネットとミルクがタンクに収まったところで、タンクに札をかけます。札は2色あり、元々の大きな貯蔵タンク別に色で区別されているのです。

表面の様子を見れば固まり具合が分かりますが、手にのせて硬さを見ることもあります。

 

8.季節にもよりますが、レンネットを入れて約30分ほどでミルク(脱脂乳)が見事に固まりました。

ロックフォールの工場にもあった仕込みのタイムテーブル。分刻みの工程でした。

 

9.写真は、壁に貼ってあった今日の仕込みのタイムテーブルです。12分刻みで仕込があることが分かります。一番下の段に書かれているのは、20番目のタンクで、時刻は13:13となっています。




(感想)いろいろなチーズ工場を取材すると、ミルクをレンネットで固める工程が最も面白い場面だといつも思います。いつ見てもミルクが固まるのは不思議で面白いです。また、こうした部屋は高温・高湿度の為に、どんなミルクを使っているのかという事が香りで判断できます。今年の2月にあの問題のあるモンドール(チーズマーケットでは扱っていませんが、他社が日本に入れて販売しています。)工場では、この工程の部屋に入ったとたん、あまりの臭さに逃げ出したくなりました。しかし、もちろんこのREO社はそんなことはありません。むしろミルクを温めた時のような甘い香りがして、このことだけでもこの工場が素晴らしいかが分かりました。次回は型枠に入れる工程をご紹介します。


カマンベール・ド・ノルマンディーAOCの作り方2(レンネットでミルクを固まらせます。)