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ノルマンディー地方のの牛の出産(フランス)



今回は、8月(2005)に訪問したカマンベール・ド・ノルマンディーAOCのチーズの原料のミルクを生産する農家を取材出来ました。その農家ではちょうどノルマンディー牛の出産があり立ち会えました。今回は、出産時期が遅くなり、子牛が子宮の中で大きくなってしまったので、かなりの難産となりました。




産婆さんとこの農家の息子さんです。

 

1.今回出産する牛をゲージで挟んで、動かないようにします。産婆さん(男性2人)のうちの一人が、産道に手を入れています。そして赤ちゃんを手探りで探して出口に引っ張りながら、前足の両方にロープをかける準備をしています。

時刻は既に夜7時を回っています。

 

2.もう一人の産婆さんが、そのロープを牛舎の壁のフックに滑車を引っ掛けて、方向を変えて引っ張り安くします。何度も引っ張りますが、一向に赤ちゃんは出てきません。引っ張られる度に相当痛いのか、お母さんは大きな声をはり上げています。そしてとうとう腰からくだけて座り込んでしまいました。

蹄が見えます。力ない舌も見えています。

 

3.前足の上に見えるのが頭です。呼吸が出来るように、産道の入り口を手で広げて、赤ちゃん牛の気道を確保しています。既に赤ちゃん牛は、かなり元気が無く弱っています。この時点で呼吸が困難になるといろいろな後遺症の原因になります。時間との戦いです。

すぐ出そうなのにここからが大変でした。

 

4.舌が力なくだらりと口から出ています。産婆さんも声を出して赤ちゃんを励ましています。お母さんも今までに聞いた事がないくらい大きな声を上げて鳴いています。引っ張るロープの角度を変えて、別の壁のフックに付け直し、再度2人の呼吸を合わせて、ロープを再び引きます。

感動しました。体が半分ほど出てきたのです。

 

5.やっと体半分が出ました。ここまでくれば、もう一気に引っ張り出します。

羊水で濡れた体の牛の赤ちゃん。湯気が出ているようです。

 

6.やりました、無事出産です。お腹の中で大きくなりすぎたのが難産になったようです。目は開いています。わらに横たわったままで動きませんが、生きています。

一点を凝視しているような目で動かないお母さん牛。

 

7.頑張りました、お母さん。目がうつろです。相当疲れたようで、その後20分ぐらいは横になっていました。柵越しに横にいた雄牛たちが近寄ってきて、声を掛けているようです。「奥さん、頑張ったわね。」と言っているようです。私も心の中で拍手を贈りました。

元気がないので、とても心配でした。

 

8.赤ちゃんは、男の子でした。この後、私たち人間は外に出て、広い牛舎の一部をお母さんと赤ちゃんだけにしました。お母さん牛の角に掛けてあったロープも外します。

母は強し。子供のためならば、無い力も出てくるのですね。お母さん、僕を産んでくれてありがとう。僕は社会の役に立つ人間になります。

 

9.するとお母さんは、すくっと立ち上がり、赤ちゃんの方へ歩み寄りました。そして、写真のように赤ちゃんの体中をなめて拭いてあげていました。マッサージを兼ねているのかもしれません。4月のイタリアのパルミジャーノレッジャーノの農場でも見ましたが、立ち上がりなさいと声を掛けているようで、一時間もしないうちに赤ちゃんは立ち上がるようです。



ノルマンディー地方のの牛の出産(フランス)