一般消費者が住宅建設業者(ハウスメーカー)と知り合う方法は意外と限られています。最も思いつくのが、各地にある住宅展示場に足を運んで家を見ながら、営業マンの説明を聞く方法です。私達もいろいろなメーカーの家を見学に行きました。一方、常設展示が出来ない小さいハウスメーカーの場合、現場見学会(完成した住宅を施主に引き渡す前に、施主の許可を得て土日などに一般公開する行事)で実物を見ることが出来ます。私達もネットで調べて、いくつかの小さなハウスメーカーの実物の家を見て、営業マンの説明を受けたこともありました。また、書店に並ぶいろいろな住宅関連の雑誌の中から、各メーカーが建てた家の写真と記事を見て、ピンと来たハウスメーカーにカタログを請求したり、電話をして彼らが過去に建てた住宅を見せてもらうこともしました。 |
|
こうした取り組みを5月から6月末まで行って、見積もりをお願いしたい会社を選びました。そしてこの約一ヶ月の間に自分達の建てたい家の見取り図を仕上げました。店舗部分と住宅部分の位置関係や大きさ、間取り、天井高、屋根の形状などいろいろとありました。それらを元に、具体的にどんな部材を使うのかについて、外部仕上げの内容や内装仕上げの床・天井・壁に使う素材の一覧表を添えてお渡ししました。これらを元に各社に設計と見積もりをお願いしたのでした。(こうした建物の設計をすることに大きな興味関心を抱く美奈子店長のお陰で、なかなか良い図面が出来ました。高校生の時から建物や部屋のインテリアなどに興味があったようで、住宅雑誌を買っては眺めたり、良い記事をスクラップして資料にして保存していたそうです。美奈子店長のお陰で今回の設計はとても良い物になりました。) |
|
ところが、我々のお願いに対する各社の反応は、大きく違いました。12社中、期日までに見積もりを出したのは、たった5社。出さない残り7社のほとんどは、TVコマーシャルをしたり、大きな維持費が掛かるモデルハウスを所有する大手ハウスメーカーでした。これには驚きました。「出来ません。」と文書でお断りしてきたのはその内のたった1社だけ。あとの6社は、電話すらなく無反応でした。事前にお会いして名刺交換もして相談してきた相手に、こんな対応しか出来ないとは、呆れるやら情けないやらで、この先に大きな不安を感じました。彼らは自社で土地を買ってそれを建築条件付の土地として、お客と契約をして自分達の建物を建てることだけに忙しいのでしょうか?自由競争社会の中で、大きいくせに自分達よりも小さな会社とすら競争したがらないとは情けないです。逆に、きちんと期限内に見積もりを出した会社は素晴らしい会社なので、そうした会社と契約をしていけば欠陥住宅になる事は無いとも思いました。 |
|
見積もりをみると、その内容も様々でした。添付すべき見取り図や立面図が無いずさんなものを提出してきたり、こちらで提出した見取り図とは、形も配置も全く異なる設計をしてきた会社もあり、お客の要望を聞き入れてくれないのだなぁと感じました。また、見積もりを出さないのに、その後で何度もダイレクトメールを送り続けてきた大手ハウスメーカーもありました。 |
|
次に行なったのは、見積もりの内容の吟味と比較検討です。単に合計額を見ても素人には何も分かりません。そこで基礎工事や設備などの項目がずらりと並んだ見積書を項目別に点検して、一致する工事内容の箇所を拾ってはその内容と価格を比較していきました。また家を建てた後も長くお付き合いしていくわけですから、信頼できる人物でなくては困りますので、その点も重視しました。(この点から考えても転勤などで担当者が入れ替わる大手ハウスメーカーに対する私達の評価は自ずと低くなりました。) |
|
7月(2005)に各社から見積書を頂いて、そのお返事をするのに2ヶ月間待って頂きました。それは自分達が建築の勉強して彼らに少しでも近づかなければならないからです。各営業マンの説明をより確実に理解できるようにしたいと思いました。また、間取りはもちろん、太陽光発電など自分達がやりたい事柄をこの時点で整理して、どのような構造や暖房、換気システムが自分達に合っているのかも考えなくてはなりません。 |
|
結局、見積もりを頂いた5社の中から2社に絞りました。そして新たに鉄骨構造のハウスメーカーと地元の小さな在来工法の工務店さんにも声をかけて合計4社に、ほぼ固め終えた私達の見取り図を渡して最終の見積もりを依頼しました。もちろんその間も各社の担当の方と何度かお会いして見積もりを作る上での彼らの疑問点に答えたり、逆に彼らが出来る事と出来ない事を一つ一つ確認していきました。すると、徐々に各メーカーの得意・不得意分野が浮かび上がって来たのでした。例えば、太陽光発電は出来るけれど、ヒートポンプを使った暖房は勧めしていないなどの回答を受けたりしました。徐々に各社の違いが鮮明に分かってきました。 |
一方、見積もりを頂きながらお断りしたハウスメーカーの名前をここではお教えできません。また見積もりすら出してこなかったひどい会社も言いませんが、札幌にもいい加減な業者がいることも分かりました。以下に何故私達の希望に合わなかったのかについてお話しておきます。 |
|
1.木造なのに外断熱を採用している会社。 |
2.暖房にストーブ(ペチカ)を採用していて、気密性と換気方法に無理がある設計の会社。 |
3.余りにもTVのコマーシャルが多く、噂では3割を会社の利益として最初に差っ引くらしい会社。 |
4.希望する床下暖房は無理だと言い、セントラルヒーティングを強く勧めてきた会社。 |
5.余りにも高い見積もりだった。(5,800万円)宣伝費や営業マンへの手当てなどが費用に積み上がる? |
6.見積書のほとんどが「一式」の値段になっていて、詳細が読み取れない会社だった。 |
7.過去に建てた家を見学したら、あまりに寒い家だったのでこれは駄目だと思った会社。 |
8.2×4なので、私達が希望する間取りが無理だと分かった会社。 |
9.営業マンがこちらの話を余り聞かず、話がかみ合わなかった会社。 |