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セル・シュール・シェールAOCが美味しい訳は?

 
では、どこを見てそう判断したのかと申しますと、左の箱に入ったセル・シュール・シェールは、これといった包装がされていません。つまり、チーズが裸のままです。これは一見、手を掛けていないように思うかもしれませんが、やぎのチーズを扱う方法としては、一番いいのです。
 
一方、右の箱に入ったセル・シュール・シェールは、プラスチックのフィルムに包まれています。一見美しいのですが、これではダメなんです。ちょっと手を抜くと蒸れてしまい、すぐに異臭を放ちます。
 
 
 
上の写真をご覧下さい。これらは、やぎのサントモールというチーズですが、左の写真の方には、全てにラベルがついています。これをはがすとその面が蒸れていて、色も悪く良くない状態になってしまいます。右側のチーズでは、ラベルが付けられ、さらにラップで包まれています。これでは、チーズ全体が蒸れてしまいます。
 
悪くなると分かっていてどうしてメーカーが、この様な事をするのか?それは、「何も手を掛けずに、すぐ店頭に並べて販売したい。」という仕入れ側(スーパーマーケット、デパート)の思惑がさせているのです。食べ物なのに、”おいしい”を最優先しない売り手の考えが見えてきます。店頭にチーズが並ぶ前段階から、間違えた扱いをうけるチーズがフランスですら存在するのです。こうしたことからも単に、”セル・シュール・シェール AOC ”と名前が同じでも、値段も様々、作り手も様々、味も様々なのです。残念ながら、日本ではこうした手抜きされた大量のやぎのチーズが出回るので、それを食べた消費者はみな、「やぎのチーズは、汗臭いような独特のいやーなにおいがして美味しくない。」と云い、食べていない人までその誤解を信じて、ますますこうした悪評がうわさとなって広がるのです。(店頭の営業日には、特にやぎのチーズをお客様にご試食して頂き、そうした間違えたうわさを払拭してもらうように地道な活動をしています。お陰さまで当店では、やぎのチーズが人気です。その訳は、・・・。)
 
 
では、上の2枚の写真をご覧下さい。これらは現在、チーズマーケットで扱っているやぎのチーズの保管場所です。(ランジス市場でも先の大量生産のチーズとこうした特別なチーズの保管場所は区別されています。)どうですか?先ほどのような、ラップで包まれたものやラベルが巻かれているものは、一切ないですね。つまり、蒸れて変質した味にならない様な管理がされているのです。(もちろん良質なミルクを使った少量生産の農家製のチーズが対象です。)左の写真の赤○部分を見ると、木の箱を積み重ねる時に、黒い大きな割り箸の様なものを噛ませています。これで、通気性が良くなり、蒸れないのです。この作業は毎日数回行い、上と下の箱も日に何度も入れ替えていました。また、右側の写真をクリックして下さい。ラベルは、一ヶ所にまとめられているだけで、決して最初からチーズにベタベタを貼られていないのです。(このとんがったチーズは、プーリニィーサンピエールです。あー、おいしそう。)
 
「手間を掛けないで美味しいチーズ。」なんて有り得ないのです。つまり、よい原材料でおいしいを最優先する良心的な作り手が作ったチーズを、市場の段階でこうした手間を掛る人がいて、やっと心からおいしいと云えるいい状態のチーズに仕上がるのです。これが、例えばパリのチーズ専門店のチーズと量販店のチーズコーナーのチーズとの大きな差なのです。あなたが口にするチーズマーケットのチーズは、こうした良質な作り手のチーズが、更にいろいろな関係者の手により、時間を掛けられ慎重に取り扱われた末にようやく出来上がった素晴らしいチーズなのです。


セル・シュール・シェールAOCが美味しい訳は?