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一味違うランジス市場からのパヴェ・ダフィノア45%



今回はチーズマーケットで輸入販売しておりますランジス市場からのパヴェ・ダフィノア45%の品質管理の方法を解説して、どうしてチーズマーケットのパヴェ・ダフィノアが一味違うおいしさなのかについてお話ししたいと思います。

個別に包装されていない美味しいパヴェ・ダフィノア45%個別包装され蒸れていて美味しくないパヴェ・ダフィノア60%

まず、上の写真の2つのパヴェ・ダフィノアという白カビチーズを見てください。左は乳脂肪分45%、右は60%のパヴェ・ダフィノアです。2つのチーズは、乳脂肪分以外にも違いがあります。それは、フランスからどのように包装されて来ているかということです。この2つのチーズのうち、右のチーズはもう輸入しません。理由は美味しくないからです。どうして美味しくないのか? 一方で、左のパヴェ・ダフィノア45%はとてもおいしいチーズでとても人気があります。おいしい理由の一つに過剰な個別包装をしていないことが考えられます。今回はこのおいしいパヴェ・ダフィノア45%が輸入されている様子をご紹介したいと思います。

ランジス市場から来るパヴェ・ダフィノア45%の箱。

 

1.左の写真がパヴェ・ダフィノア45%が輸入されてくる時の状態です。この中に12個のパヴェが入っています。また、箱の表面には数ヶ所に穴が開いていて、通気性を良くして白カビの成長に必要な空気の出入りができるようになっています。では、さっそく箱を開けてみましょう。

きれいに並んでいます。白カビが呼吸しやすそうです。

 

2.箱の上を開けると写真のように確かに12個のチーズが並んでいます。そうです、裸のままのチーズです。つまり一つ一つのチーズは紙やラップで個別包装されていないのです。6個のチーズが、プラスチックのトレーに載っていることも分かります。では、このトレーを箱から出してみましょう。

ふかふかの白カビ。雲のようです。

 

3.一つ一つのチーズにはラベルが載っていますが、包装はされていません。これがチーズの品質にとって、とても重要なのことなのです。また、写真では良く見えませんが、このラベルも工夫されています。といいますのは、巻き簾のような間隔で黄色いストローが並び、その上に紙のラベルが貼ってある構造になっていることで、ラベルの下も通気性が良くなり、その部分のチーズが蒸れないようになっているのです。つまり、日本に輸入された時点でも、そのままいい状態になっているのです。

パヴェのラベルには、チーズを蒸らさない工夫があります。

 

4.左の写真を見ればそのことがよく分かります。パヴェの表面の白カビが綿のようにふんわりとしていますね。指で押すとつぶれそうなくらいにふっくらとした白カビが生えています。白カビはデリーケートなのでラップ包装などをしてしまうと、このようなふっくらした白カビもラップからの圧力でへたってしまいます。また、蒸れたり水滴でチーズを濡らしてしまい、表面の色が変わったり別のカビが生えてくることもあります。(注;白カビがずっとへたってはいけないと言っているのではありません。輸入したての初期の段階では、へたっていない事が大切なのです。その後、徐々にへたってくるのは自然の事で問題ありません。)

店頭でも大人気のチーズマーケットのパヴェ・ダフィノア45%

 

5.チーズマーケットでは、このように輸入された時のいい状態を売るまでずっと保つために、店頭販売でやむなく陳列しなければならない時も、個別のラップ包装はせずに6個入りのトレーごとふんわりと軽くラップをするだけにしています。こうすることで、表面の白カビは売れるまでふっくらのいい状態で成長を続け、おいしいチーズへと変化していくのです。「このパヴェを下さい。」とお客様からご注文を頂いて初めて、包装をしてお渡しするのです。




一方、チーズマーケットで輸入をしなくなったパヴェ・ダフィノア60%の場合は、この話しとは全く逆になります。一般的に日本で流通しているパヴェは、フランスのメーカーで既に個別包装され、パリのCDG空港まで国内輸送され、それから約1万キロ離れた日本までやってきます。そして日本では輸入業者や卸売り業者などを経て、デパートなどの小売店に並べられ、ようやく販売開始となるのです。つまりこのとても長い旅の間、さらに日本の誰かが買うまでの日数の間、ずっとチーズの表面には十分な通気性がないのです。その結果、包装紙の内側でチーズが蒸れたり濡れたりして、チーズが美味しくならずに逆に徐々に劣化していくのです。「チーズを熟成するためには、包装紙は邪魔になります。」包装紙が必要なのは見た目を良くしたり、小売店が売る時に楽をする為にあって決してチーズの為にはないのです。こでまで見て参りましたとおり、同じメーカーが作ったパヴェであっても、どのように包装されて来たかどうかで、味に大きな差が出てしまうのです。日本でチーズを扱う全ての店が、チーズの過剰包装を今すぐに止め、おいしいチーズが提供できるように、手間ひまを掛け、日々研修をして頂ければ幸いです。また、チーズの目利きが出来る消費者も増やしていかなければならないと感じています。そういう意味でも、今後もいろいろな角度からチーズを見つめて行きたいと思います。
            


一味違うランジス市場からのパヴェ・ダフィノア45%