ベルパエーゼなどのミニチーズは、本当にチーズなのか? |
イタリアではガルバーニ社という日本では雪印や明治などのような大きなチーズメーカーがあります。そのガルバーニ社で作られているチーズの一つに、コインの形をしたミニベルパエーゼというのがあります。今回イタリアに行き、とあるスーパーでそれが売られている様子を見て驚きました。・・・・何と下の写真のように、冷蔵庫ではなく卵と同じ棚に置かれていました。そうです、常温なのです。 |
ナチュラルチーズはもちろんのこと、そのナチュラルチーズを加熱して整形して作られるプロセスチーズでさえも、冷蔵保存で販売することは常識で、誰でも分かっていることです。では、このベルパエーゼというのは一体何なのでしょうか? |
ベルパエーゼは、機内食でも出てくるので、食べたことのある方も多いと思いますが、柔らかく、ナイフですくって、パンに塗れるほど柔らかくチーズのような味がします。しかし、それが常温で数ヶ月も品質が変わることなく保存できるとなると、もはやチーズとはいえません。また、日本では本当のチーズと一緒に冷蔵棚に並んで売られています。バックラベルを見るとチーズフードという分類の商品です。つまり、チーズを原料にしてその他もろもろの原料と合わせて作られた物で、チーズではないと言うことです。常温で保存できるとは何らかの加工が施されているのでしょう。チーズでない事が分かり、ほっとしました。 |
でも次の瞬間、私ははっとしました。何故なら日本のデパートやスーパーでは、このクリームベルパエーゼに限らずこうしたあいまいな食品をあたかもチーズであるかのようにナチュラルチーズと同じ冷蔵の棚で売られているからです。また、それを見た多くの日本の消費者は、これをチーズだと思い、さらに何と食べやすいチーズなんだろうかと誤解していることを憂います。チーズではないと言う認識が無いままに、或いはチーズだと思って食べているのが、厄介なのです。ここで、はっきりしなくてはいけないです。ベルパエーゼはチーズではありません。柔らかい食感だからといってもナチュラルチーズではありませんし、プロセスチーズでもないのです。こうしたチーズの類似品を口にして、その味に舌が慣れてしまうと、本来のチーズの味が分からなくなると思います。これは、人工的に味付けされたのもので、自然の味ではないのです。本来、チーズとは発酵食品です。カビや乳酸菌が時間をかけてミルクの成分であるたんぱく質を分解し、うまみの元である数種類のアミノ酸を作りだして、その結果美味しくなったもの、それがチーズなのです。自然の微生物の活動から生まれる美味しさがチーズなのです。つまり、消費者を意識して人工的に味付けしたものは、チーズとは呼べません。 |
日本という国では、実にたくさんの種類の食品がそれぞれの店頭に並べられています。一見すると、それはとても豊かな食生活が約束されているかのように見えますが、実態はこのベルパエーゼのように、工場で人工的に味付けされた食品が多いだけなのです。消費者は、買う前によくバックラベルを見て、自分が食べたい食品なのかどうかを確かめる必要があると思いました。このような加工食品はイタリアやフランスでも広がり、自然の味であるチーズの素晴らしさが分からなくなっている人々が増えているそうです。 |
ベルパエーゼなどのミニチーズは、本当にチーズなのか? |