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イタリアやフランスでは、殺菌していない生乳を探して飲みましょう!



イタリアやフランスに行くと楽しみにしていることの一つが、日本では味わえない食べ物を食べることです。今回は、加熱殺菌をしていない牛乳の話題です。

 
5月(2008)に行ったイタリアのトレンティーノ地方のプレダッツォ(Predazzo)という町にある生協(COOP)には、生乳の牛乳を売る自動販売機がありました。お客さんが、それぞれに空のペットボトルなどを持って買いに来る様です。私たちも次の日に買いに行きました。イタリアやフランスで生乳の自動販売機を見たのは、初めてでした。一方、下の写真の様にイタリアやフランスでペットボトルやガラス瓶に入った生乳を量販店や朝市でみかけることはありました。珍しいので立ち止まりました。この自販でどうやってミルクが出てくるのか、どういう味がするのかと興味がわきました。生乳は、その名の通り加熱などによる殺菌を全くしていない搾ったそのままの乳のことで、乳種は牛乳が多いようです。イタリアでは、Latte Crudo といいフランスでは、Lait Cru といいますので、表示やラベルを見ればすぐ分かります。

CIBUS2008に出展していた生乳をボトルに詰めて販売するメーカーのカタログの表紙です。

さて次の日、自動販売機のある生協に行きました。黄色い紙に手書きで買い方が載っています。それによると、まずお釣りは出ません。数種類のコインだけ受け付けられるようです。入れたコインの分だけミルクがノズルから出てくるようです。値段は、1リットルで1ユーロ(160円)です。


生乳を売る自動販売機。こんな機械があるなんて、びっくりしました。

自販の扉を手で開けて、そこにミネラルウォーターのペットボトルを置きます。次にコインを入れて、黒いボタンを押します。やがてミルクがノズルから出てきました。20セント入れたので、0.2リットルの生乳が出てきました。さて、お味は・・・・?


牛乳と言う中身だけを売るのは、環境にも良いですね。

では美奈子店長、「どうぞー。」「ゴクゴクゴク。」「おいしいー。」続いて私も飲みました。確かに「味」がします。こげた様な、また冷蔵庫の様な、紙パックのような嫌な匂いがしません。クリームの匂いというか甘い香りがします。そして喉につっかからないというが、すうーっと通る感じでした。


5月なのにプレダッツォは、標高が高くて寒いです。写真のように美奈子店長は厚着です。

ここ数年、チーズマーケットでは、より小さな生産者が作るチーズを探し歩いています。その理由の一つは、ミルクの質が良いことがあげられます。その良質なミルクを余り強く、長く、殺菌せずにチーズに仕上げているので格別な味わいなのです。「お乳でもチーズでも生乳製や余り強く殺菌していなものが断然美味しい。」と思います。でも、日本でだけ出回っている強烈に殺菌されたミルクで出来たチーズやお乳を口にしていると、こうしたミルク本来の良さには中々気付けません。

 
日本では、生乳のチーズや生乳を作ることは、ほぼ100%出来ません。「殺菌しないと安全が保てない。」というのが今の日本社会ですが、「果たしてそうなのか?」とヨーロッパを旅していると思います。彼らに出来ることが、どうして我々日本人の生産者には出来ないのか?と思います。本当に出来ないのではなくて、単に規制が多い国なんだと思います。日本で牛乳を生産している酪農家がヨーロッパの彼らより技術や衛生面などが劣っているとは到底思えませんから・・・。しかし、日本では自己責任を持つという風潮が希薄であり、何かにつけて他人(製造者)の責任にする風潮がありますので、イタリアやフランスのように生乳のスタンドもありえないことなんだと思います。
 
だから・・・せっかくイタリアやフランスに来るチャンスがあれば、こうした日本とは考え方というか哲学と言うか文化の違いが感じられる食品を飲んだり食べたりしてみることは、日本という国を考える上でも良いきっかけになると思います。一杯の生乳がこうして簡単に飲めるイタリアの食の奥深さに頭が下がりました。


イタリアやフランスでは、殺菌していない生乳を探して飲みましょう!