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シチリア島(イタリア)のオリーブオイルとワインの旅日記 2004(10月22日)


このグロッタ(洞窟)は、有名な古代遺跡です。すぐ横にオリーブ農園が続きます。
グロッタの壁面を悠然と歩くトカゲ。
地面にはアリが活発に動き回り、穴を掘っています。

このオリーブ畑はまさに自然そのもの。人間よりも前から住んでいる動物たちを
駆逐しない農法があります。ご覧ください、岩陰にはトカゲやねずみやへびやう
さぎなどの小動物たちがたくさん住み、地面にはアリが巣を張り回らし、蜂が花
から花へ飛び交い蜜を集めて、草陰にはバッタやコオロギがいる。・・・・・。

このオリーブ畑を歩きながら、私はふと思いました。ここは、すこし昔まであっ
た豊かな日本の農村の風景にとても似ていると。しかし、今や日本のほとんどの
地域では化学肥料を使い、農薬を撒き散らし、害虫はおろか環境保全に大切なあ
らゆる小動物や微生物までもが死滅してしまう超化学的、工業的な農法になって
しまい、畑の土そのものに命を育む力がもうなくなっているような気がします。
見た目の良さを求めすぎる日本の消費者のニーズに目が向いてしまい、また収穫
量を最優先する生産者の姿がそこにはあります。

ここでは、オリーブはもちろんレモン、マンダリン、アランチャ(赤いオレンジ)、
ざくろなどのフルーツが実り、フェンネルやローズマリーなどのハーブ類も道端
に生えています。そしてそれら全ての自然の恵みを受け取ることができます。自
分が収穫したい作物以外の全ての動植物が皆生きていける農法だけが、オーガニ
ックと呼ぶにふさわしいものだと確信しました。

豊かな自然のイメージがある北海道ですが、自分で育てた野菜を自分では食べな
いという農家もいるとしばしば耳にします。つまり、それらはビジネス用の野菜
であり、どのようにして作られてきたのかを生産者自身が一番良く知っているの
で、怖くて食べられないといいます。私は、野菜に限らず、加工食品などもそれ
らが、どのように作られたかという事実を一度でも知ってしまうと、もう絶対買
いません。そして、そうした食物が日本にはとても多いと感じています。多くの
消費者は、そうした実態を知らないので、買って食べられるのだと思います。

今までも、そしてこれからもチーズマーケットでは、まさに店主自身が毎日でも
食べたいような安全でおいしい食品をご紹介していきたいと思います。

生産者に会いに行くと彼らがどのような魂を持っているかが分かります。人に会
うことはとても大切です。良いも悪いも全てはその作り手自身の姿勢が写し出さ
れているだけなのです。       今日もとても考えさせられた一日でした。


オーガニックの畑とは人間の都合に合わせないありのままの自然・シチリア島(イタリア)