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メルマガ5号(ミモレットとダニ君)

                             
----------------Cheesemarket.jp mail news 2003 vol.5 -------------

☆☆☆札幌チーズマーケットからのメールマガジン☆☆☆
http://www.cheesemarket.jp

-------------目次-------------
1)チーズの解剖(オールド・ミモレット編)

------------------------2003/2/28 実際は、3/2--------------------

こんにちは、チーズマーケットの山本 知史です。

今日から待望の3月。日も長くなりました。
レストランさんへの配達も、少し遅れても、空が明るいので気分的に楽です。
雪が融け、札幌でも春の香りがしてきました。メルマガも2月中にと準備を
進めてまいりましたが、とうとう3月に。そうだ2月は、短かかったんだ。

さて今回の内容は、次のとおりです。

1)チーズの解剖(オールド・ミモレット編)

今回も全力でやっていきます。

--------1)チーズの解剖(オールド・ミモレット編)----------------

皆さんは、オレンジ色のハンドボールの球形(3kg)のオールドミモレット
をご存知ですか? 濃厚な味わいでお好きな方も多いかと思います。元々オラ
ンダが原産ですが、近代よりフランスでも作られています。

この表面は、まるで月面のクレーターのようにぼこぼこの穴があり、"ふっ"と
息をかけると粉が、ばぁーと飛び散ります。実はこれ、粉ダニなんです。また、
ダニがかじったチーズのかけらや糞なども含まれています。ちょっと倍率のいい
ルーペで見ると元気よく手足?をばたばた動かしています。健康だなぁ。

これを聞いて、「きゃー。」とか「きもいっ。」とか「もう絶対食べない。」
なんて思わないで下さい。それは過剰反応だと思います。ハードチーズは、その
表皮は、こうした美味しくしてくれる微生物への分け前分としてあり、人間は外
側を外して、中を食べるので大丈夫です。

ちゃんとチーズ(栄養)と乳酸菌とダニという3者の世界で、あるバランス
がとれているのでしょう。ダニぐらいと思いますが、おいしさに関係しているよ
うです。

その証拠にある時、船便で輸入されたオールドミモレットを見ましたが、表面
はやや粉っぽいのですが、粉があまり飛ばない、禿げ頭のようにツルツルです。
いつもの空輸で入れたチーズと違い、何やらもうダニは、いなさそうです。ルー
ペで見ると死骸ばかり。もう途中で全滅したようです。切って中身を食べました
が、思ったとおり、おいしくない。(ダニが死ぬ環境って一体何があったの?
このダニは、低温(2、3℃)でも元気です。でも高温や直射日光には弱いです。)

ミモレットに限らず、チーズ作りでこうしたダニを使うのは、フランスのサヴォア
やオーヴェルニュ地方など山方面のチーズでは当たり前のようです。熟成庫で出荷
した後に、棚に落ちて残ったダニ君たちは、おじさんの手で、また新しいチーズの
表面に塗りたくられます。(おーい、また新しいえさだよと云わんばかりに。)
こうしたダニの粉は捨てたりしません。今のところ何故そうするのかは、今の私には
分かりませんが、チーズのうまさにとって役に立っているんだろうと思います。
アルプスに近いイタリアのピエモンテ州のチーズでもこういったものがあります。
(6月頃は、サヴォアに行きたいなぁ。)

よくオールドミモレットと称して、パックされたものがデパートなどで売られ
ていますが、そのほとんどは、この表皮を取り除かれた状態で売られています。
でも、これって良くない。なぜなら表皮を剥いでしまうと一体どんな状態で輸入
されたのか、またどれくらい熟成されたのかが分からなくなってしまいます。チ
ーズにとって外皮は、身分証明書のようなものなんです。でもこうする理由は、
一つです。”事なかれ主義”で、消費者からの苦情が来ないようにする為です。

”何か変な粉がついているぞ。”とか、”これダニとちゃうんか?”(何故か関西弁。
別に他意は、ありません。私は大阪生まれ。)

予めちゃんと説明すればどんな人にも分かってもらえるんですが、そんなマイナス
イメージ(ダニ)の存在なんて明らかにしたくない。売れなくなってしまうと恐れる
んです。だから最初からその存在を葬り去るのです。

一度、スーパーなどでハードチーズを観察してみてください。外皮が無いチーズが、
結構多く売られていることに気付かれると思います。でもこうしたことは100%店側
が悪いとはいえません。消費者側でも、きゅうりには、いぼいぼがなく、真っ直ぐな
ものとか、えびは、最初からピンク色をしている、なんて本気で思っている方も意外
といるようです。でもこうした誤解が起きない様に、各人が、ありのままの食品を見
つめ直すことが大切だと思います。その為には、自分で魚をさばいたり、イモを洗っ
て泥を落としたりするなど、料理にかける時間をとる事が大切だと思います。

こうした一般の方には、「ダニ」と一言いっただけでも、パニックになるかもしれま
せんね。

でもどうせ売るなら、 ”ダニも寄りつくこのうまさ。”  なんてコピーにすれば  
いいのに。

最後にあのオレンジ色は、アナトーという植物の種の色です。

まとめると、

1.ハードチーズは、外皮が付いているかを確かめてから、買おう。
2.ハードチーズは、外皮を外して、食べよう。
3.どうせなら、ホール(塊)から、その場で切りたて(ダニ君、イキイキ)を
買おう。
4.スーパーでは、規格外(不揃い)の野菜を買おう。

                             てなことでしょうか?

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