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メルマガ29号(マスカルポーネはチーズか?)

                             
--------------Cheesemarket.jp mail news 2004 vol.29-------------

☆☆☆札幌チーズマーケットからのメールマガジン☆☆☆
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-------------目次-------------

1)マスカルポーネチーズは本当にチーズなのか?

----------------------------2004/4/10----------------------------

こんにちは、チーズマーケットの山本 知史です。先週入荷したランジス
市場のチーズは、とても好評で発売と同時に売り切れるチーズもあり、
手ごたえを感じております。いつも、ありがとうございます。

さて、今回は次の1本です。

1)マスカルポーネチーズは本当にチーズなのか?

マスカルポーネは、チーズなのでしょうか? うーん、余りにもチーズら
しくない。ただの生クリームなんじゃないの? いや、これはチーズだ。
・・・などなど、いろいろとお考えの方もいらっしゃると思います。

今回は、すっきりする様に解説したいと思います。

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長くなるので、結論から述べます。
マスカルポーネは、チーズの一種です。また生クリームでもありません。
(生クリームは、乳脂肪の集まりです。)

「カマンベールなどの一般的なチーズは、主にミルク中の蛋白質を固め
たものです。一方、マスカルポーネは、ミルク中の乳脂肪、つまり生ク
リームを固めて作られます。

つまり、普通のチーズは意外と乳脂肪分が少なく、いうなれば蛋白質のか
たまりといえます。一方、マスカルポーネは、乳脂肪そのものといえます。
 

「なーんだ、やっぱりマスカルポーネは、ただの生クリームなんだ。」と
誤解されると思いますが、ちょっと違うのです。

では、検証していきます。

チーズは、ミルクから作られる保存食です。しくみは、乳に含まれる浮遊
した小さな粒の蛋白質を乳酸菌などを加えて、液を酸性にすることで凝固
させ、それを一まとめにしたものです。つまり、乳に乳脂肪があってもな
くてもチーズは作れるのです。実際、脱脂乳でもチーズは作られています。
要は、蛋白質を固めたものがチーズなのです。

一方、マスカルポーネは、こういったチーズの製法とはまったく違います。
乳脂肪(生クリーム)がないと成り立ちません。かといって乳脂肪だけで
はないのです。

絞りたての何もしていないミルクは、静置しておくとその表面に比重の軽
い生クリーム分が浮いてきます。これを早めるためには遠心分離機を使い、
ミルクから生クリーム分を取り出します。
マスカルポーネを作るには、この生クリームに少し別のミルクを加えて加
熱して温めます。(常温では固体だったクリームも、37度以上になると
液体に変わります。)そこで全てが液状になったところで、クエン酸など
を添加します。すると、ミルクの中のタンパク質が固まりだします。
(牛乳にレモン汁を入れると固まるのと同じ事です。)また一部生クリー
ムに含まれていた少量の蛋白質も同様に固まります。全体を冷やすことで、
固まった蛋白質はもちろん、液体だった生クリーム分も固化します。そし
て固まった部分以外の液体成分を本体と分離します。そして初めよりも水
分が抜け、より硬く乳脂肪の含有率が高くなったものができます。これが、
マスカルポーネなのです。

つまり、そのほとんどが乳脂肪で、また一部は別のミルクから固まって得
た蛋白質も含んでいるということなんです。だから、口当たりがスムーズ
でキメが細かく、コクがあるこってりとした味でおいしいのです。(乳脂
肪100%という事ではなく、切れずに残った水分やミルクに入っていた
蛋白質が固化したものなども含まれています。)

また、マスカルポーネは、通常のチーズ作りに使うレンネットやスタータ
ーを使いません。つまり、熟成させないことを基本にしています。
(出来るだけ早めに食べ切るのがいいのです。日が経つにつれ美味しさは
増さないのです。だから、作り立てがおいしいのです。)
ただの生クリーム(乳脂肪)とマスカルポーネの違いは?ということですと、
もうお分かりだと思いますが、まとめますと次の通りです。

1.マスカルポーネ;
生クリーム(乳脂肪分)にミルクを加え、全体を酸性にして固めた蛋白質
(カゼイン)も含まれている点です。
つまり、主成分が乳脂肪で一部蛋白質も含まれていて、醗酵させていない。

2.生クリーム
ミルクからその上部に分離した乳脂肪分が主成分。(醗酵させない。)

3.一般的なチーズ
ミルクの中の蛋白質をレンネットで固めて集め、それにミルクの中の乳脂
肪も一緒に固め、時間と共にスターター(乳酸菌)やカビにより醗酵させ
たもの。つまり、主に蛋白質と乳脂肪の成分で、醗酵させ風味をより出す。

また、三者に共通することは、水分なども含まれていることです。



追記;
レンネットは、カゼイン(蛋白質)を集める働きがあります。ミルクの中を
浮遊していたバラバラのカゼインがレンネットの作用によって寄り集まり、
次第に固まり、これがチーズの元のカードになるのです。レンネットを加える
前には、スターター(乳酸菌)を加えます。スターターによって、乳酸菌によ
る醗酵が始まるのです。蛋白質は、醗酵によりアミノ酸に分解され、うまみ
成分のアミノ酸が増えてきて、チーズは時間と共に徐々に美味しくなります。

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