|  TOP  |  お買い物方法 | メルマガ |

メルマガ23号(真空包装は、チーズの敵か味方か? )


--------------Cheesemarket.jp mail news 2003 vol.23-------------

☆☆☆札幌チーズマーケットからのメールマガジン☆☆☆
http://www.cheesemarket.jp

-------------目次-------------
1)よりよいチーズの保存方法  その2
   (1)真空パックは、チーズの敵か味方か?

----------------------------2004/3/4----------------------------

こんにちは。いよいよ3月ですね。といいましてもここ札幌は超真冬と
いう感じです。でも日が長くなってきて、日差しも日に日に強く感じら
れ、ちょっとした変化がうれしくなってきます。

さて、今回は次の1本です。

1)よりよいチーズの保存方法 その2
(1)真空パックはチーズの敵か味方か?

前回のメルマガ22号の続編として、日頃から目にする真空パックにつ
いて述べてみたいと思います。また、チーズにまつわるうわさをバッサ
リ斬りたいと思います。

何かのお役に立てれば、とてもうれしいです。


-------------------1)チーズの保存方法 ------------------------

(1)真空パックはチーズの敵か味方か?

5年前くらいにある雑誌を読んでいたら、とあるチーズ専門店の店主の
方がインタビューにこんな内容のことを述べられておられました。
「チーズの息の根を止める真空パックはしない。」と。

自然科学と申しますか、「生命の定義とは?」(中学校1年生理科)を
思い出せば、直ぐにおかしいとピンときますが、「チーズは生物ではあ
りません。」なので息の根を止めるも何も、もともと呼吸はしていません。

こうした事が活字になると、もっともらしく見えてくるから、恐ろしい
です。おっと、私も活字にしているので気をつけます。(それが気にな
って、クリアーではない部分があり、未だにゴルゴンゾーラのメルマガ
が書けないでおります。)

真空パックは、全てのチーズにとって害があるとは思いません。また、
逆にメリットばかりがあるとも思いません。使い方次第でよくなったり、
マイナスになったりするんだと思います。

では、順に解説していきます。

@ある限られた種類のチーズには、いい働きがある。

私達が真空包装を進んでしているチーズは、次に3タイプがあります。

A;プロセスチーズ全般(レビエスモークなど)

B;ハードチーズの中で特に硬いもの。
(パルミジャーノ・レッジャーノやミモレット24ヶ月、オールドアム
ステルダム、ライプナーVSOPなど。)

C;フレッシュ・クリームチーズ。
(つぶつぶガーリック&ハーブやつぶつぶピーチ&オレンジなど)

これらのチーズが真空包装に適している理由は、醗酵過程が極めて遅い
・或いはもう止まっているようなチーズだからです。

では、真空包装して得られる利点は何かと申しますと、空気中の細菌や
カビの進入を防げ、新たなカビの増殖を押さえ、不要な新たな醗酵を防
ぎ、いまの品質がより長く保てるという点です。おまけで、「見た目が
綺麗でいい。」などもあります・・。おっとこれは、売り手の論理ですね。

パルミジャーノ・レッジャーノなどの硬質チーズは、カット後にお客様
が食べられるまでの短期間に、熟成が進んでさらにおいしくなるかとい
う可能性と、逆にその間にラップ包装などの簡単な包装により失う風味
とを天秤にかけると、やはりこうしたチーズには真空包装をする方に軍
配があがると思うからです。

Aこんなチーズには、悪影響が、・・・。

これ以外のチーズやこれ以外のグループのチーズでは、先の点(醗酵が
速い)から考えると、真空包装には適していないのです。

もしも、こうしたものに真空包装をかけますと、蒸れて異臭を生じたり、
円滑な熟成が損なわれてしまいます。

例えば、カマンベールなどの白カビはその成長に酸素が欠かせません。
真空状態ですと、白カビの成長が損なわれますし、アンモニアガスなど
がこもります。

また、青カビのチーズも酸素に触れることで成長できるので、不向きで
す。ロックフォールなどでは、醗酵の過程で水分が多く染み出てきます。
この水はすばやくチーズから取り除かなかければいけないのですが、も
し真空包装されていると、出た水の行き場が無くなり、チーズが水に漬
かった状態になり、正常な醗酵が行えなくなります。

一般的な柔らかいウオッシュチーズやスイスのハードチーズのように表
面がウオッシュされてしっとりしている表皮を持つものなども、真空パ
ックに向きません。コンテもこの仲間です。こうしたチーズもやはり蒸
れて表皮が溶け出したり、やがて悪臭も発生してきます。


Bでは、私達が進んでするチーズなら、真空パックでずっと新鮮さを保
てるのか?

はい、それは違います。真空と云いましても完全ではないのでやはり酸
化してきます。また、少しずつカビも発生します。開封しないでせいぜ
い40-50日ぐらいというところだと思います。(要冷蔵、5度以下
の条件で)また、真空にしてもしなくても、もともとの賞味期限が短い
フレッシュチーズやクリームチーズは、論外です。

Cまとめ

このようにどんなチーズでも、真空包装をすれば持ちが長くなると思う
のは間違いなのです。かえって悪い状態にしてしまうこともあるのです。

海外旅行の際に、現地でチーズを買って日本に持ち帰る時も、真空パッ
クにしてもらうと、魔法のようにいい状態で運べると錯覚しておられる
旅行者の方を見かけますが、それは気のせいです。チーズの保存という
面では、真空パックは万能ではありません。12時間ぐらいのフライト
なら、ラップで包装してもらい、客室乗務員の方にお願いして、ドライ
アイスを少しもらい、何重かにした新聞紙で包み、それをチーズの上に
のせておけば、いい状態が保てます。(くれぐれもチーズマーケットの
メルマガに載っていたからといって、ドライアイスをもらわないように
お願いします。)誰もが、みな貰えるとは限りませんので。

---------------------------------------------------------------

メルマガ23号(真空包装は、チーズの敵か味方か? )