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メルマガ13号                    

                           

----------------Cheesemarket.jp mail news 2003 vol.13 -------------

☆☆☆札幌チーズマーケットからのメールマガジン☆☆☆
http://www.cheesemarket.jp

-------------目次-------------
1)フランス訪問(6月)レポート2(マルシェ事情)
2)マルシェで見かけたチーズおじいさん


--------------------------2003/07/13------------------------------

こんにちは、チーズマーケットの山本 知史です。

月に2度は、何とかメルマガを出したいのですが、定期的にはなかなか
困難です。今週(7.13〜)は入荷が少ないので、今のうちに書いて遅れを
取り戻したいと思います。(夏休みの宿題みたい。)

さて今回の内容は、次のとおりです。

1)フランス訪問(6月)レポート2。(マルシェ事情)
2)マルシェで見かけたチーズおじいさん。


いい出会いがありました。楽しんでもらえたら、嬉しいです。
そして日本でもこのマルシェを実現するためのいい方法があれば教えて
欲しいです。


---------1)フランス訪問レポート2(マルシェ事情)-----------------

私がいつも楽しみにしているものがマルシェ(朝市;英語でマーケット)で
す。フランスに限らずユーロの殆どの国であると思います。このシステムの
歴史などは、よく分かりませんが、とてもいいシステムだと思います。

衣服や日用品は違いますが、花、野菜や果物、肉、ソーセージ、惣菜、ワイ
ン、シードル、はちみつ、チーズ、パン、などは、生産者(注1)から直接
買えるので、価格はもちろん、新鮮なものや量販店にはないものを手に入れ
ることが出来ます。

////(注1)農家が直接販売までしている場合は、"vente directe a la
ferme"と表示しています。mar11.jpg
この写真の左上にある旗のような洗濯ハサミで留めてある紙にそう書いてあ
りました。これがない場合には、自分で生産しないで、業者から仕入れた物
を売っている場合です。
もしも自分の前にある店がそうか知りたいときには、メモ用紙にこれを書い
て店員さんに渡せば、ウィ(はい)と答えてくれます。この方法ならフラン
ス語の発音を気にせずに、コミュニケーションができて、見知らぬ街でもど
んどん進んでいけます。////

今回は、リヨン市内の中心を流れるローヌ川沿いに立つマルシェに行きまし
た。早速、写真を見てください。

mar1.jpg
mar5.jpg
この日も30度ぐらいあり、とても暑かったのですすが、チーズ屋さんも出
ていました。
mar7.jpg
このヤギチーズのお店は、ちょっとした冷蔵設備がありました。ちょうど新
琴似から来た若いマダムがチーズを買っていらっしゃいました。

mar9.jpg
こちらの山(サヴォアやオーヴェルニュ地方)のチーズのお店は、常温だっ
たので驚きました。こうしたハードチーズは、最低の販売量も大きいので、
希望すれば試食もさせてくれます。手振りで試してみたいと訴えると、ダコ
ー(D'accord;いいよの意)といって食べさせてくれます。お礼に一つは買
ってあげたほうがいいと思います。

他にもパンや花、果物、野菜、ジュースやワインの店も出ていました。
mar8.jpg パン
mar4.jpg
mar3.jpg 果物
mar2.jpg 野菜
mar10.jpg 野菜
mar6.jpg ジュースやはちみつ

リヨン市内でどのようなマルシェがいつ、どこで開かれるかの案内は、事前
にネットでも調べることが出来ます。
http://www.mairie-lyon.fr/decouverte/halles_et_marches/marches_alim_1.html

////(注2)もしもこのアドレスが途中で改行された理由で、ページがうま
く開かなかったら、このアドレスをコピーしてブラウザーのアドレス窓に貼
り付けて開いてみてください。////

このページの説明ですが、まず表から。
左の1とか2とか3は、リヨン市の区を示しています。1区から9区まであ
ります。その右には、マルシェが開かれる広場や通りの名前があります。そ
して一週間(月(Lundi)から日曜日(Dimanche)の順)のうち、×印がや
っている意味です。今回行ったマルシェは、上から5つ目のQuai Victor
Augagneur (terre-plein)の場所でした。この文字をクリックすると、
Marche Victor Augagneurと言う名のマルシェであることが分かります。

マルシェの素晴らしいところは、消費者にとって選択肢が増えるということ
です。皆さんは、野菜や肉や魚などを普段どこで買いますか? 量販店で買
うことがほとんどではないでしょうか? やはり一度に何でも揃うので時間
的余裕のない日本人には、仕方のないことかもしれません。商店街などがあ
り肉屋さんや八百屋さんで買える方は幸せだと思います。そしてフランスな
どのように、さらに臨時のマルシェがあれば、まさに旬のものを手に入れる
ことができます。

日本では、デパートやスーパーなど全ての食品がこうした大手の流通に
飲み込まれようとしています。せっかく丹念に作った野菜も流通が複雑に
なれば、それだけ値段も上がりますし、規格基準が決まっていて、同じ大
きさものだけが出回り、それ以外のものは規格外で無駄になります。また、
加工食品にしても結局はコスト削減のために大手メーカーの大量に作られ
たものばかりが幅をきかせ、小さいメーカーの良質なものは、蔑ろにされ
てしまう現状が情けないです。食べ物の嗜好は、人それぞれで全然違いま
す。なのに、日本では、いわゆる無難な中性的な味付けのものがはびこっ
ていて、まるで、”みんなこれでも食ってろ。”といわんばかりにどこも
同じ品揃え。品数豊富といっても、それって単に大手食品のものが色々あ
るだけじゃないの?としらけます。

余り海外旅行に行かない多くの日本人の方には、本場の味がどんなものか
を確かめるチャンスがほとんどありません。なのでチラシであるスーパー
がイタリアフェアなんて云って、一体どんなものを売っているかというと
パスタにしてもオリーブもオイルもチーズにしても笑っちゃうようなきわ
めて品質の低いものなのです。これを知らずに買って家でお料理しても、
美味しくないのは、腕のせいじゃない。これで、”イタリア料理は、うー
ん、ちょっと勘弁。”ということになるんです。ある、お得意さんのイタ
リアンのシェフさんも同じような事をおっしゃっていました。中途半端な
企画ならやらないで欲しいと。誤解されるからと。多少高くてももっと美
味しいものを売ればいいのにと助言しても、スーパーの現場担当者は、
”うちにはそんな分かる客は来ない。”と自分の店に誇りを持っていない
んです。お客さんが悪いんじゃなくて、売る側の姿勢が、問題なんだと思
うのですが。

余計な農薬や添加物やかさを増すための膨らし粉なんかを使わないで普通
に作れば、野菜もジャムもパンも美味しいはずです。商売だから儲けよう
と質を落として、量を増やせば不味くなるのは自明なことです。

ここでまとめますと、

1)月に何度かでも量販店以外のところで買い物をしよう。
2)国道沿いなどの農家直売の野菜や駅などの臨時出店や八百屋さんなどの
  専門店で買い物をしよう。
3)量販店でもたまには、質のいい高いものも買って、仕入れ担当を見返
そう。(100%ストレートジュース、400円もする手焼きせんべい、
etc、かなり僕の嗜好に偏っていますが)
4)夕方に安くなった生うにや生あわび。(これなら僕も買える。)
(売れ残ると今後置かなくなるのではと不安になります。)
ぜんぜん、まとまっていませんが。

私は常日頃から思っていることですが、もっとマルシェのように生産者と
消費者が直接関係を持てるシステムが日本にあれば、もっと豊かな食生活
になるんじゃないかと。

最後に、今回のマルシェでは、生のアーモンドの実を初めて見ました。ま
たあんずとさくらんぼが旬だったので、あちこちで売られていました。

また、間引きした小さいレタスなども売られていたのには、驚きました。
ちゃんと捨てずに使うのは、いいことです。

さすがに秋に見かけたきのこ類は、ほとんどありませんでした。


-------------2)マルシェで見かけたチーズおじいさん------------------

いいおじいさんをご紹介します。アヌシーという街のマルシェで出会ったお
じいさんです。お顔と仕草がとても印象に残りました。まずは、アヌシーの
位置関係の地図です。annucy.gif

リヨン(Lyon)の東側で、スイスに近い山間でアヌシー湖をようするリゾート
地です。初めて行きましたが、とてもいい街でした。中心街は車が入れないよ
うにしてあり、ゆっくりと歩けます。

さて、おじいさんの登場です。unc2.jpg
子供机のような台一つだけで、一体何を売っているかといえば、トムとレタ
ス、白豆、卵のたった4つ。片やおじいさんの左となりでは、オリーブ屋さ
んが、どーんと美しいディスプレーで多種多様のオリーブを売っています。
oli.jpg(この右側におじさんが、・・)

初めはオリーブが美味しそうなのでそこへ行き、いろいろと買ったあと、
さてお金を払おうと、ふと右を見ると、直ぐ脇にこのおじさんが座ってい
たのでした。見過ごしてしまいそうなぐらい、店のスペースがありません。
unc1.jpg(この左側がオリーブ屋さん)

でも、チーズがあるので、気になりました。ちょうど四分の一ぐらいのもの
があったので買おうと思い、いくらか聞いたところ、立ち上がりそのチーズ
をもって天秤はかりの左にぼとんと入れました。そして右に分銅を入れまし
た。→unc4.jpg

何かどれも大きい分銅ばかりで大丈夫かなぁと嫌な予感がしました。適当
に何個かを入れて釣り合うのを待とうと見ていると、全然つりあってこない。
unc3.jpg(チーズが重い。)

でも次の瞬間、おじさんは、キッパリ、4ユーロだといいました。2,3秒
間言葉を失い、そしておお笑い。さっき買ったオリーブ屋さんでは、最新式の
デジタルばかりで、1g単位で金額が決まったのに、余りにアバウトなお会計
  にびっくり。あの天秤はかりは、一体何のために使ったの? 天秤はかりは、全
  然参考になっていないじゃないの? なのにどうして値段が分かるの? あれこ
  れと疑問が沸いてくるのに、4ユーロの答えとにギャップがありすぎ。もう何
  がなんだか自分でも分からなくなり、しばらく道路の上で笑いが止まりません。
  どんどん頭の奥から笑いの大波が押し寄せてきます。可笑しくて、腹が痛ーいぐ
  らい。ということは、どのお客さんにもこんな調子でやっているの? 想像すれ
  ばするほど、また波が出てきます。だれかーもう止めてー、て感じです。

   新旧のはかりがお隣同士で同時に存在し、どちらも通用するこの空間がなんとも
奇妙で、面白かったのです。

  すごくおまけしてもらったような気がします。(でも、もう得したかどうかなん
  て、もうどうでもよくなりました。こんなやり方の商売が成り立つことが可笑し
  いし、びっくりしました。日本じゃー怒られて、こんなこと出来ないよなぁーと。)

想像するに、このおじいさん、奥さんが家にいても持て余すから、”行っておい
  でよー。”ってなもんで、暇つぶしに自分の家で作ったものを持てるだけ持って
  売りに出かけたような身軽さ。商売というよりも、健康維持のためにやっている
  という感じでした。

帰り際に、小声で”ジャポネか?”と聞いてきました。ウィと答えると、珍し
い客が来たもんだみたいな表情で小さく笑いました。

写真を撮らせて欲しいとお願いすると、照れながらこっちを向いてくれまし
た。unc5.jpg さっきのオリーブ屋さんのお兄さん達も、このやり取りを初めから
見ていて、さっきからこっちを見てニコニコ笑っています。

撮り終えるとまた座り込み、人目を気にせず今度はパンにかじりつきました。
なんだか本当に自然体で大きな気持ちの方に会えたなぁと嬉しくなりました。

そしてこんなおじいさんも参加できるマルシェの奥深さに感動しました。

こういう場面に出会うと僕は、人生の豊かさや面白さについて考えさせられ
ます。「皆が同じじゃないし、同じで無くていい。でもお互いを認め合って
  それぞれのペースややり方でみな楽しめばいい。」と云ってくれているよう
  なおじいさんでした。
このおじいさんを見て、小さいことで時々悩んでいた事が如何にあほらしい
かを教えられたようで、スッキリしました。

僕は、こんなに楽しい買い物をしたのは生まれて初めてでした。

おじいさん、本当にありがとう。僕は、きっと忘れない。

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どうぞよろしくお願いいたします。

それでは。

店主敬白
山本 知史

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FAX 011-765-1119
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