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メルマガ10号(ヤギのチーズがいい状態とは?)


----------------Cheesemarket.jp mail news 2003 vol.10 -------------

☆☆☆札幌チーズマーケットからのメールマガジン☆☆☆
http://www.cheesemarket.jp

-------------目次-------------
1)健康な状態のヤギのチーズとは?
2)今週(5.27〜)のお勧めのチーズは、?

------------------------2003/05/27-------------------------------

こんにちは、チーズマーケットの山本 知史です。

5月からの札幌は、一年中で一番いい季節です。でも今年は、なんだかシ
ベリアの火事の影響で、太陽が赤く見えたりと、いまいちですがそれでも
暖かい季節をずっと待っていたのでうれしいです。

さて今回の内容は、次のとおりです。

1)健康な状態のヤギのチーズとは?
2)今週(5.27〜)のお勧めのチーズは、?

今回も正直に書きます。そして核心にズバッと迫ります。
長文ですので、お茶でも飲みながら、ゆっくりお読みください。

-------------1)健康な状態のヤギのチーズとは?------------------

今回は、今まで六年ほど様々なヤギのチーズを輸入したり、現地の生産者
を視察したり、現地の専門店などを回って、実際に食べ、観察した結果、
色々なことが分かってきましたので、今回は、その全てを公開したいと思
います。

何かと誤解の多いヤギのチーズですが、これを読まれるとすっきりするか
と思います。そしてヤギチーズのよき理解者なってくれたらと思います。

1.皮ってあるの?

まず、外側の皮のようなものについてです。ヤギのチーズでクロタンやシ
ャビシューなどは、その表面にモグラが地を這ったような、縄文式土器の
ような模様があります。これは、カビの仕業です。
yagi.jpg をご覧ください。

これは、普通の牛乳をガラスケースに入れ、あるヤギのチーズをポトンと
落とし冷蔵庫にしばらく置いていたものですが、このようにちゃんとカビ
が生えてくるんです。下のほうは、まだ牛乳の液体です。
この実験から、この模様は人工的に作られたもの(容器(入れ物)の内側
の模様が写ったもの)ではないことがお分かりいただけると思います。

つまり、カビの成長の過程で出来たものなのです。このようにヤギのチー
ズの表皮は、自然に出来たものです。カマンベールのように白カビの菌を
吹きかけたものでは、ありません。この部分は、若いうちは食べますが、
熟成して硬くなった頃には、食べないこともあります。この食べる食べな
いは、全く個人的レベルの問題で、決まりはありません。

この他、ヤギチーズには、白カビを吹き付けて作るものや、灰をまぶして
作るものなどもあります。伝統的な製法(AOC)などでは、自然に出来
た皮のチーズがほとんどです。

まとめ;自然に出来た皮のチーズが多いです。これらはチーズなので食べ
られます。(一部、白かびなどを吹き付けたものもあります。)


2.硬くなるのとトロリーとなるのではどちらがいいのか?

100%硬くなるのがいいです。
ヤギのチーズの状態で、よくない状態は、持つと折れたり曲がったりしそ
うなぐらい全体が柔らかいものや、皮がほころびその表皮の周辺から中の
チーズが溶け出てしまい、皮の内側が空洞になっているようなチーズです。
参照 → sel2.jpg

ただし、チーズの底の角などの皮がめくれていたり、つぶれていたりする
のは、たいした問題ではありません。これは、輸入時に隣のチーズと触れ
てくっついた為、その2つを引き離す時になったものと考えられます。

例をあげれば、
1)いい状態のヴァランセ その1
参照 → yagi4.jpg
上から見た図。どちらも表面が乾いていて、締まっている。

2)いい状態のヴァランセ その2、その3
参照 → yagi5.jpg
左;横から見た図。足元がむけているが、そこの部分の中身が流れ出てい
ない。しまっている。
右;横から見た図。右の足元がそりあがっている。適度に水分が抜けたこ
とが分かる。するめをあぶると丸まってくるのと同じ理由。

これらは、底だけややはげていたり、めくれていたりするだけで、全体の
形や色、カビの入り具合、つやなどは良好なのでGOODです。

3)悪い状態のセルシュール
参照 → sel1.jpg
左側;本来表面は、フラットなはずなのに激しい温度変化で水分が抜けた
ところや、そのままだったりして、それが凸凹になっている。また、全体
的に本来の形(円錐形の尖ったところを水平にカットしたような形)が失
われ、上部も側面も全体的に形が崩れている。

表面に青カビなどが生えるのは良いけれど、左のそれは一時期にどっと繁
殖したようなコロニーになっている。点々と生えるのは、ゆっくりと発生
している証拠ですが、こうした一部分が集団になって青くなっているのは、
一時期に温度や湿度の著しい変化が起こったことを物語っています。
参照 → sel2.jpg

4)良い状態のセルシュール
右側;本来の形が整っている。また、全体的にしまっていて、じゅくじゅ
くしていない。参照 → sel3.jpg
表面のカビの状態も均一で、整っています。

この様にして、チーズが硬化していくのは極めていい状態といえます。

また、表面に色々なカビが生えているのはだめだという人がいますが、余
り関係ありません。先の説明の通り、もともと何も包み込まない保存方法
なので、自然と空気中のカビなどが付き、色取り取りにカビが生えること
はむしろ当たり前のことです。

でも、そんな時には、外側だけを外して食べれば済むことなんです。好み
でピリッと辛いのが好きなフランス人でしたら、わざと青カビの付きの熟
成したセルシュールなどを買い求め、外側もみんな食べるほどです。こう
した熟成してカビも色々と生えしまったヤギのチーズは、若い状態のもの
と一緒にフランスのチーズ専門店やマルシェでは、よく見かけます。

では、カマンベールのような白カビのチーズにその他の色のカビが生えた
らどうでしょうか? ヤギチーズと違い、カビの部分は食べない方がいい
でしょう。こうした白かびチーズは、ヤギチーズと違い、含水量も多いの
で、多種多様なカビが生えやすいといえるので、中には、毒性のあるもの
ありますので。


3.何故、ヤギチーズは、乾燥させるほうがいいのか?

こうしないと先の例のように適度にチーズの中の水分が抜けて行かないで、
蒸れた状態になってしまうんです。蒸れると持ちが悪くなるばかりか、特
有の嫌な臭いがしてきて、本来のヤギの風味がかき消されます。例を挙げ
れば、剣道着のコテのような汗臭い感じだったり、けもののような荒々し
い臭いだったりなどです。


4.いい保存方法は、?

保存は、ズバリ、ラップは厳禁です。(2,3日ぐらいならいいですが、)
家庭では、チーズより大き目のプラスチックの容器にペーパータオルを敷
き、その上にそのまま裸で入れて、ふたをするのが良いです。時々容器の
内側に水滴が付いてくるので、ティッシーでふき取ります。なるべく早め
に食べる方が良いです。


5.健康な状態のヤギのチーズとは?

いよいよ本題です。
「形が整っている。(凸凹が少ない)色やつやが均一。極端に柔らかくな
い。しまっている。香りがいい。」などです。

何度も繰り返しますが、底の方がすこしはげていたり、曲がっていてもた
いしたことでは、ありません。

実際にヤギのチーズを買ってみて、きれいな自分の指で表面を触ってみる
ことが、いい経験です。軽く押してみる。押したまま表皮を滑らせて見る。
こうすることで、見たときの色と触感がだんだんと一致してきます。そし
てそれを何度か繰り返すと、店頭でチーズの色と香りを確かめただけで、
触らなくてもいい状態のヤギのチーズを選ぶことができると思います。


6.実際に店頭で買う時のポイントは?

チーズマーケットのネットで注文されるのでしたら、間違いなくいいもの
だけをお届けしますので安心ですが(ちょっと宣伝。)、自分で選ぶには、
次の二点にすればいいと思います。

a)においをかぐ。蒸れたような臭いがしないか?
b)色を見る。カビの生え方はどうか?全体の形はどうか? つやが良いか?
底以外でめくれていないか? 中身が飛び出していないか?
c)でも直接指などで触るのは、ダメ。(衛生的にも、今後のチーズの熟成
にもよくないので。)

ヤギのチーズには、だいたい2つのタイプがあります。
1)ロワールなどの産地で、表面が灰に覆われていて黒く、中身が真っ白
のもの。
→ サントモール・ド・トゥーレーヌ、ヴァランセ、セル・シュール・
シェールなど。

2)その他の地域で、表面も中身もやや黄色いもの。
→ クロタン、ピコドン、シャビシュー・ド・ポアトー、プーリニィ・
サンピエールなど。

初めての方は、1)の方がよりヨーグルトを固めたの様な味なので、あっ
さりとしていていい思います。でも、輸入後、3週間ぐらい経った方が酸
味も穏やかになり、塩もこなれて、全体の味のバランスも良くなります。
この時の表皮の状態は、やや締まっていて、表面の灰と新たに生えたカビ
が一体化しているような感じです。参照 ↓(サントモール・ド・トゥーレ
ーヌ)san1.jpg

7.ものすごく硬くなったヤギのチーズは、食べられるの?

はい、大丈夫です。普通のヤギのチーズは、ナイフはもちろん、フォーク
でも、或いは、箸でもカットできるものが多いです。でも、2ヶ月ぐらい
すると、かなりしまって硬くなってきます。こうなるともうナイフで削る
ようにして食べます。

でも私は、これも好きです。オリーブオイルをすこしつけて食べるんです。
硬くなっているということは、健康的な証拠。香りも別に汗臭くありませ
ん。硬いだけです。味も辛いわけではなく、すこし濃厚になっているので、
ボディーのしっかりした白ワインに良く合います。またこうしたチーズは、
粉にしてパスタにかけてもおいしいです。(もちろん皮ごと。)

ここまでくると、もう別物のチーズだと考えた方がいいと思います。若い
頃の風味はありませんが、それには無い旨みが加わっています。

8.ヤギのチーズのおいしい食べ方は、?

先のオリーブオイルに胡椒カリカリが、一番です。でもはちみつやジャム
を添えて食べたり、サラダ菜なんかに包んで食べるのもおいしいです。
もちろん刻んでパスタに振りかけてもおいしく頂けます。


9.小売店でのヤギチーズの扱いは?

よくデパートなどでラップに巻いてあるサントモールなどがありますが、
フランスでは、そうした売り方はしません。一部のスーパーなどで扱う大
量生産の廉価なヤギのチーズは、小さい穴を空けた硬いプラスチックケー
スに収められています。でもこれでもいい状態は保てません。内側でチー
ズから出た水蒸気が結露して水滴が内側についていたりして、それがチー
ズの表面につき、濡れてしまいふやけて蒸れてくるのです。もちろん全部
が全部悪いということではありません。こうしたデリケートなヤギのチー
ズは、フランスでもチーズ専門店で扱われることが多く、藁の上に裸で置
いてあるだけなんです。(でも、見えないところで湿気を取ったり、湿度
・温度管理をしているとは思います。)

フランスから約8千キロも離れた日本では、色々な原因で残念ながらこの
ような悪い状態のものが多く出回っているようです。こんな長旅をしてき
たので、現地よりいい状態というのはありえませんが、工夫しだいでは、
殆ど現地と同じ状態にすることも可能です。(下記の5点・を実行すれば。)

本来のヤギチーズの味や状態を知らない日本人がそうした管理の悪い物を
食べて、その臭さに不快感を覚えたり、或いは、”よくまぁフランス人っ
ていうのは、こんなくさいものを食べるなぁ。”と誤解してしまうのは、
ある意味仕方のないことかも知れません。でもそれだけ、そんなチーズを
食べさせてしまった今の日本人のチーズに携わる人たちが、いかにいい状
態のヤギのチーズを食べた経験が無く、本来の味を把握していないのかが
分かります。

逆に言えば、このヤギのチーズの状態を見れば、どんな管理をしている店
(チーズ専門店、小売店、レストラン)なのかが分かるとも言えます。

こうなった理由は、色々あります。( )内は担当者。

・輸送時の梱包方法や温度管理が悪い。(梱包をした現地の運送会社)
・輸入直後のケアーをしていない。 (輸入者)
・運送上の取り扱いが悪い。 (国内の運送会社)
・保存時の温度・湿度が悪い。 (輸入者、小売店、レストラン)
・輸入から販売までのサイクルが長い;
回転が悪い。いい時に売り切れない。 (輸入者、小売店、レストラン)

先の写真でお見せしたチーズのように、輸入時に既に相当なダメージを受
けているヤギさんが多いんです。こうしたものは、丁寧に拭いたりしてリ
ハビリします。

それでも回復しないときには、私が食べたり、超特価でチーズ好きなレス
トランさんのオーナーさんに引き取ってもらいます。(助かっているんで
す。)

なので、一般のお客様には、輸入した中から、常に最高の品質のチーズだ
けをお売りすることになるので、そんなにはヤギのチーズは、お安くでき
ないのです。

いま、こうした現地での管理を徹底してもらうように交渉しているので、
順次、値段にも反映したいと思います。

前回は、24個の内、半分がダメージを受けていてお蔵入りでした。
(これはきついです。フランスに返品もできないし。)好きといっても2
キロもヤギのチーズを食べるのは、ちょっときついです。

余談はさておき、こうしてみると、チーズマーケットの責任になる部分が
多いので、これからも心してヤギのチーズのケアーにあたりたいと思います。


最後にまとめると、

1.汗臭い蒸れたような柔らかいヤギのチーズは、避けよう。
2.少し締まっているぐらいのヤギのチーズが美味しい。(約3週間経た。)
3.余り食べなれていない方は、輸入したてのフレッシュなものがよい。
4.外側を食べるかどうかは、個人の問題。
5.いいヤギのチーズを提供する店(小売店、レストラン)は、すごい。
6.とても硬くなったものも、またおいしい。
7.底がすこし形が悪くても、味には問題ない。

こんなところでしょうか?

言い足りなかったところは、回を改めてまたヤギのチーズの特集を
組んでご報告します。



----------------2)今週(5.27〜)のお勧めのチーズは、?----------

コンテ・エクストラ 100g当 540円 ハード
カマンベール・ド・ノルマンディー AOC 250g 1400円 白かび
ペリグー 100g当 710円 白カビ
フルール・ド・マキ 100g当 960円 羊乳
ブルビオ 100g当 660円 羊乳
ペコリノ・トスカーノカーノ・フレスコ 100g当 600円 羊乳

今回の主役ヤギチーズは、言うに及ばす、どれでも選りすぐりのいい
状態です。http://www.cheesemarket.jp/yagi.htm

是非、一度チーズマーケットのヤギのチーズをお試しください。
自信があります。




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どうぞよろしくお願いいたします。

それでは。

店主敬白
山本 知史
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チーズマーケット
・・・ナチュラルチーズの専門店

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TEL 011-765-1116
FAX 011-765-1119
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