この瞬間、私の頭が動きました。そうなんです、前回(22話)でお話した「ポストハーベストの処理をしたマンゴーが店頭に並んでいるんだ。」と予想出来ました。「NON SPRAY」という表示もないので、ほぼ間違いないと思います。私が10日ほど車で連れ歩いたNON SPRAYのマンゴーは、買って2日後には表皮に小さな黒い斑点や黒シミが出てきました。それらは日に日に広がって大きな黒いシミになっていきました。そうした小さなシミすらここの店のマンゴーには出ていなかったのです。 |
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日本に限らず食品がいろいろな人や会社を経由して消費者に届くといった長い流通経路に乗ってしまうと、全体を通して一番に重視する点は、マンゴーの美味しさや安全性ではないことが、徐々に分かって来ました。生産者も卸売り業者もそしてスーパーマーケットの様な小売業者も思いは一つ! そうです、「売れるまで品質が落ちないこと!」つまり、「長持ちする。」ことが一番の関心事なんです。ロスを出さずに売り切ること。残念ながら、最後にこのマンゴーを口にする人の健康など気にすること人はいないのかもしれません。いやいないと思っていたほうが確かかもしれません。 |
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近頃では、消費者も生鮮食料品に対してすら、「長持ちする」ことを求めているようです。そういう消費者が増えれば、あるいはそういう人が大勢を占める社会がある限り、ポストハーベストは無くならないと思いました。やっぱり、一人ひとりが地域に根ざした商売をしていて信頼出来る生産者や販売業者を探して、そういう人達から買わないと、足元をすくわれるのが残念ながら今の世の中のようです。とほほ・・・。 |
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「見た目が美しいフルーツは、新鮮だとは限らない。傷まない仕掛けがあるかもしれない。」これが私がオーストラリアに3年連続で行って、いろいろな農産物の生産現場を見て来た自分なりの一つの結論です。農薬を全て否定するわけではありません。しかし、少なくて済む方が良いに決まっています。でも、その為には、生産者ばかりに責任を負わせるのではいけないとも私は考えています。つまり、生産者の地元の町でその作物がもっと多く消費されれば、輸出することも都会の市場に流れることも少なくなり、その結果長持ちさせる必要がなくなるので、ポストハーベストも減ると思います。都市に人が流れていくことに歯止めを掛けなければ、こうした問題の根本的解決にはならないと思います。世の中を良くするのも悪くするのもやっぱり政治でしょう。 |