生のフルーツを出荷する前に行うポストハーベストの現場! |
オーストラリアにマンゴーを食べに行きました。どうせなら生産現場も見てみたいと思い、いろいろな農家やプランテーションを訪ねました。あるところでは、ポストハーベストの様子を目にする事になりましたので、今回はその様子を伝えたいと思います。 |
まず、下の写真です。このコンテナーにあるマンゴーは、果樹園から収穫されたばかりのものです。まだ、農薬も何も振りかかっていません。これをそのまま箱に入れて出荷されれば健康に影響はありませんが・・・・。 |
実は今回の話題は、一年前にも知っていました。でも実際のところ、スプレーをしたマンゴーと何もしていないマンゴーとではどう違うのか?を自分で検証していなかったので、発表は控えておりました。しかし、下の写真のようにその違いは明らかです。今回の旅(1月2008)で、私は2種類のマンゴーを約10日間車で持ち歩きました。そして、いよいよ日本に帰る日にその2つを見比べて、食べ比べました。左はポストハーベストのマンゴーです。霧状にして振り掛けられた防腐剤や防カビ剤のお陰なのか?表皮に黒ずみが何も出ていません。そして、驚くほど見た目が新鮮に見えます。恐らく収穫されたのは、2週間以上も前だと思いますが・・・。一方、右のマンゴーは何もかけられていません。マンゴーは、時間と共に熟していき、表皮にはシミや黒ずみが広がっているのです。でも、これが普通なのです。自然のことなのです。これを醜いとか傷んでいると簡単に言ってしまう消費者が余りに多いので、生産者も見た目を気を使いこうした行程を行なっているのも実情です。(傷んだ部分の皮を厚めにして切り落とせば、他の部分の実は美しく、そして美味しく食べられます。) |
では、どうやって防腐剤や防カビ剤をマンゴーに付けているのでしょうか?下の写真がその現場です。写真の右に見える赤い矢印を入れて計4ヶ所から噴射されているのが見えます。 |
辺りの空気は何だかセメダインのような有機溶剤の嫌な臭いが漂っています。私自身、身の危険を感じたのですぐその場から立ち去りました。 |
こうして、ポストハーベストを受けて綺麗になった?マンゴーは、ベルトコンベアで流れて行き、女性作業員の待つ位置でサイズごとに選別され、箱に詰めた後で全てのマンゴー毎に小さなシール(○○産という様な)を貼って出荷されるのです。もちろんスプレーをした事は、決して表示しません。 |
上から2番目の写真の2つのマンゴーのように、時間と共に自然に熟して、やがては腐敗していく自然の摂理に反して、それを何とか防ごうと、フルーツの表面に付く微生物を一つ残らず死滅させる様な物質を口にして良い筈がありません。多くの消費者は、実際の生産現場を見ていないので、色艶のいいフルーツを選んで食べたがりますが、見た目重視でフルーツを選ぶことは、実は危険なのです。こうした普段は目にする事の出来ない現実を自分自身で認識をし、何を食べるべきか・何を遠ざけるべきかをこれまた自分自身で判断して行かなくてはならないと思います。今回の現場を見て思うことは、ポストハーベストは、畑で使う農薬よりもはるかに危険だという事です。これはもう薬物漬け食品です!畑で果樹や木々に撒く農薬なら、時間と共に減少していく可能性もあります。でも、このポストハーベストは、いけません。食べるフルーツに直に降りかかっているので、食べる時までに減っていることは考えられません。つまり、そのほとんどが口から入ります。例えばオーストラリアのように日本から何千キロもの距離にある生産地から運ぶには、こうした防腐剤や防カビ剤無しでは、輸出することは不可能であることも現実です。海外から輸入している農産物は、フルーツに限らず小麦やジャガイモなどの主食とになる農産物に至るまでそのほとんどで、こうしたポストハーベストを行なわれているようです。 |
これをいい機会にして、私は輸入された生のフルーツは極力買わないようにしたいです。また、外食の時に出される明らかに外国産と分かるフルーツも食べない様にします。オーストラリアでは、地元産のフルーツを売る店では、あえて「NON SPRAY」という表示をしている場合があります。これは、まさにポストハーベストをしていないという意味で、こうした情報を求める消費者が一人でも多く増えることを願っています。そうすればこういうフルーツが売れなくなり、ポストハーベストに対する風向きも強くなると思います。しかし、根本的な問題は、日本の食料自給率の低さです。はるか遠くの国で作られた食品に頼らないと生きていけない事が問題だと私は思っています。その為にも農業をもっと見直す必要があると感じながら、この現場を後にしました。(おしまい。) |
生のフルーツを出荷する前に行うポストハーベストの現場! |