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Kempfさんの牛の生活と搾乳の様子。(牛を飼いその牛乳でチーズを作る農家)2008年6月



6月18(水)、マンステール町の南西の山の中で牛を飼い、チーズを作っているケンプさんの牧場の様子を見せてもらいました。
 
朝8時からマンステールの作り方の一部を見せてもらった後、牛舎に行きました。下の写真の様に、ここでは牛が牛舎の中を自由に歩き回ることが出来ます。これを見てほっと安心しました。やっぱり、おいしいマンステール作るケンプさんは、牛を大事にしていると感じたからです。先月(5月)に行ったイタリア・トレンティーノ地方のいくつかのアグリツーリズモでは、牛が狭い牛舎に入れられたり、牛が動けないように首にロープをつないであるなどの光景を見ていたのであの光景が目に焼きついていて、どういう風に飼育しているかは、ずっと気になっていました。ここの牛達は、奥さんのアンヌさんの姿を見ると皆こちらに歩み寄ってきました。アンヌさんもそういう牛を見て嬉しそうです。

開放的で全く臭くない牛舎。餌と環境が牛にはとても良いようです。最近、臭いうんこや屁をふっている日本人が多い気がします。生きるのに厳しい社会なのです。

夕方6時に搾乳をするということで、一度山を降りて別のチーズ工場を見に行きました。そして、再びケンプさんの所にやってきました。ちょうど下の写真のように牛が一頭ずつ搾乳場に歩いて入ってきました。私達の姿を見て一瞬足が止まったので、これはシャッターチャンスだと思い写しました。

真正面からの牛の顔もかわいらしいです。500kgもあるけれど。

牛がぐずぐずしている時は、番犬が吠えたりして牛を誘導していました。とても賢い犬です。搾乳場は左右に分かれていて、共に3頭ずつ牛が並べます。真ん中の一段低いスペースにケンプさんが居て作業しています。

犬は、牛を敵から守りながら、牛を誘導したりと頼もしいガードマンの様な存在です。初めに来た時は私たちに牙をむき出しながら吠えていました。

まず、乳首をきれいなペーパーで何度もよく拭いてきれいにします。その後指で乳首をつまんでジャージャーと乳を床に搾り出して捨てます。この乳は、牛の乳首から土や埃などが入っている確率が高いので使えないのです。その後で、乳首に吸引機をはめたり、外したりしています。

搾乳場には餌箱を設置してその餌で牛や羊ややぎを誘導する農家も多いですが、ケンプさんのところは餌箱がありませんでした。

ケンプさんのところでは、搾乳が出来る牛が20頭ほどだということです。取れるミルクの量は、一頭当たり2度の搾乳で約14リットル。20頭では合計で280リットルほどです。マンスーテルが出来るのはその約1/10の以下なので、25kg前後だと思われます。20頭で家族5人が生活できるとは、フランスとは素晴らしい国だなぁと思いました。牛も人も広々とした環境で生活していけるのですから・・・。

ただの靴ならどろどろで歩けない様な道でも牛は軽やかに歩いていけます。

搾乳が終わると上の写真の様に牛舎の扉を開きます。すると牛は待ってましたとばかり外に出てきます。そして明日の朝まで放牧させるのです。ケンプさんのところは標高が高いので、冬は雪も積もります。放牧は夏を中心に3、4ヶ月行なわれるということでした。牛は勝手を知っているのかどんどん上の方に上がっていきます。急な斜面も苦はないようです。意外と俊敏ですし、足腰もしっかりしているようで崖のような場所にある草も食べていました。

どうして牛が一ヶ所に固まっているのか?・・・それは、先頭の牛が道草を食べていて道が狭い為に後ろにいる牛が前に進めないからです。じっとまっているのが何ともおかしかったです。

こうしてまた12時間後の朝6時に搾乳をするそうです。マンステールは、前の晩に搾乳したミルクとその日の朝に搾った2つのミルクを使って作るそうです。


Kempfさんの牛の生活と搾乳の様子。(牛を飼いその牛乳でチーズを作る農家)2008年6月