トスカーナ州サンミニアート村でのオリーブの実の収穫(イタリア・トスカーナ州 2007年10月) |
10月27日(土)(2007)の夕方、サンミニアート村の郊外でちょうどオリーブ畑で作業する人たちの姿が見えたので、声を掛けて収穫の様子を見せてもらいました。今週はずっと雪や雨で寒くてぱっとしない天気でしたが、今日は朝から快晴でオリーブの収穫にはいい日でした。雨に濡れているオリーブを収穫してそれで搾油すると品質の良いオリーブオイルにはならないのです。 |
まず私達を驚かせたのは、木と木の間に敷くネットの長さでした。大げさではなくて、100m走が出来るほどの長さがありました。確かにこれを一枚ばーっと敷き詰めれば、後はオリーブをネットに落として集めながら、順番に収穫して行けばいいので、能率的と言えます。一方、短いネットだと、一本の木毎にネットを敷いたり片付けたりしないといけないので、その分手間がかかるのです。 |
次に驚いたのが、電動の熊手を使って枝を揺らせて、オリーブの実を地面に敷いたネットに落とします。高圧エアーで動くようで、そのホースが車に設置されたポンプまで伸びていました。いろいろな工夫を凝らして少しでも能率的にオリーブの収穫をしています。この人たちは、ひょっとしていろいろなオリーブ畑を回る収穫専門のプロ集団なのかも知れません。^^) |
下の写真がその電動熊手の先の方の様子です。5、6本ある指のような手が2つあり、その2つの手が開いたり閉じたりするように動きます。この動きで枝に付いているオリーブの実をこそげ落とすのです。 |
作業をしている人たちは、服装から年齢から様々な人たちでした。それでも役割分担があるようで、電動熊手や熊手を持ってオリーブの木から実を落としているのは、比較的若い人でした。ネットに落ちたオリーブをお年寄り達が集めて、その中から枝や葉を取り除いて、バケツに入れています。 |
下の写真が、収穫したばかりのオリーブです。この畑では、青黒い色のオリーブがほとんどでした。品種は、はっきりとは分かりませんが、恐らくフラントイオやモレリーノ、レッチーノあたりだと思います。 |
こちらのお二人は、普段着のような格好をして、手にはプラスチック製の熊手を持って、収穫を手伝っています。男性は、ジーンズにポロシャツ姿。そしてやや若い女性は、まるでファッション雑誌のモデルさんの様に黒いブーツを履いていて、なかなかおしゃれな方でした。日本の農村でお目にかかる「農作業」という言葉から想像する重労働という雰囲気がまったく感じられません。軽やかな感じがします。 |
ここにやって来る前に行ってきた同じトスカーナ州にあるアンジェラさんの村では、収穫する時に人手を集めるのが年々大変になってきているという話を聞きました。学生さんなどの若者は、きつくて賃金が安いオリーブの収穫の仕事はやりたがらないそうです。また、村では年寄りばかりが多くて、これまたやってくれる人が少ないというのです。一方で、シチリア島のアントニーノが住むカステル・ノーボ・デ・シチリア村では、お互いの畑を順番に手伝い合いながら、全ての畑の収穫を村人だけでやっていける人とのつながりが残っていると聞きました。やっぱりフィレンツェの様な都会に近い地域の村では、このように隣人や町内同士の人間が、助け合うことも少なくなっているのかもしれません。 |
良質なオリーブオイルを得るには、機械に頼らず人手を多く必要とするのでそれだけ人件費がかかることは、こうした現場を知ると納得できます。今回初めてトスカーナ州でのオリーブの収穫が見られてとても良かったです。オリーブが先ほどの様な黒い色をした実を搾っても、まるで緑茶の様な青々しいフレッシュな香りがすることを知ったからです。これを見る前までは、トスカーナ州産のオリーブオイルに特有のほろ苦さと香りの強さは、緑色をしたまだ若い時のオリーブを搾ったからそうなると思っていたのですが、そうではなくてオリーブの品種によるところが大きいと知りました。やっぱり、「自分で現場を歩いて見て回り生産者さんのお話を聞かなくっちゃ。」と思いました。 |
トスカーナ州サンミニアート村でのオリーブの実の収穫(イタリア・トスカーナ州 2007年10月) |