白トリュフ産地のサン・ミニアートで見たずば抜けたトリュフ犬の能力(イタリア・トスカーナ州 2007年10月) |
10月27日(土)(2007)、夕方にモニカがTVの取材から帰ってきました。そこで夫のリカルドさんが、「いいものを見せてあげる。」と二人は家の隣にある芝生が生えた大きな庭に誘ってくれました。犬がトリュフを探す様子を見せてくれるというのです。森でトリュフを探す前に、こうした広場で何度も何度も見つける訓練をして、普通の犬を立派なトリュフ犬にするそうです。 |
「何処がいいかなぁ。」と言いながら、リカルドはトリュフを掘り出す棒を突き刺しながら、地面に深く穴を掘りました。深さは20cm以上あるので、犬の手では簡単に掘れそうもありません。その穴に黒トリュフを埋めました。そしてその上から土を被せ、さらに落ち葉や小石などを置き足で踏み固めました。「この位置を覚えておいてね。」とリカルドに言われたので、「黄色い小さな葉の木の横近く。」と覚えました。 |
下の写真の様に今度は、石垣で囲われた植え込み脇にも同様に深く穴を掘ってトリュフを埋めました。合計3ヶ所の地中に黒トリュフを埋めました。また、広場の真ん中辺りには、高さが1m以上あろうかといういう鉄製の円形の台がありましたが、台の中心にも黒トリュフをぽんと置きました。地面を疾走する犬には、見えないほどの高さです。 |
いよいよリカルドのトリュフ犬が、檻から出てきました。遊んでもらえるのが、とてもうれしいのかいきなり疾走してました。「F1ドライバーのシューマッハみたいだろ?」とリカルドが冗談を言って笑わせます。いくらなんでもこんなスピードで走っていては、トリュフのありかを探すのは無理なんじゃないかと、その走りっぷりを見た人はみんな言うそうです。私たちもそう思いました。もっと庭の端から順にゆっくりと歩いて確かめた方が確実なんじゃないのかと思いました。 |
様子を見ていると、あっと言う間に広い庭を2周しかけたところで、犬が先ほどの石垣近くの芝生のところで、ピタッと止まりました。あの場所は、・・・。ドキドキしてきました。 |
そして、鼻を地面に近づけながら、前足で土を掘り始めたのです。土は、リカルドが足で踏み固めたので、掘るのも大変なはずです。 |
リカルドはさかんに犬に話しかけています。「あったのか?」「確かなのか?」「遊んでいるのか?」リカルドの声も次第に大きくなってきます。犬は一箇所に集中して掘っています。そして、犬が正にトリュフをくわえようとするする直前、リカルドがしゃがみこんで犬の頭を押さえました。リカルドの指の先には、確かに先ほど埋めた黒トリュフが見えました。「お見事!」みんなその場で拍手しました。檻から出て来て見つけるのに1分もかからなかったと思います。リカルドは、良し良しと褒めています。何だか犬もうれしそうですが、またすぐに走り出しました。 |
そして、すぐにまた別の場所で止まりました。そうです、一番上の写真の場所です。小さな黄色い葉の木の近くです。動きがとても活発なので、デジタルカメラではぶれてしまい、なかなかいい写真が撮れませんでしたが、下の写真は私も地面に寝そべってカメラを固定したので、うまく撮れました。^^) |
そして、これが掘ったばかりの黒トリュフです。白と違い黒トリュフは、香りもおとなしいですが、犬の嗅覚からすれば、プンプン匂うってくるのですね。 |
最後にあの1mの高さの台に置いた黒トリュフについてです。匂いはすれど、地面からではないと悟った犬は、この台の上にあると確信したのか、遠くから走って来てその勢いで、はっと飛び跳ねて台の上に登ったのです。そして黒トリュフをぱくっとくわえたのでした。 |
これで4箇所の黒トリュフは全て見つけられてしまいました。時間にして3分弱。まさにF1並みの早業でした。リカルドとモニカにとって、トリュフの仕事の良きパートナーのこの子犬は、モニカのお爺ちゃんの犬のステラの子供でした。2年前に行った時には、まだ小さくて可愛がるだけの犬でしたが、今こうしてリカルドが1年以上かけて一人前のトリュフ犬に育てたそうです。そして今では、いろいろなコンテストでも優勝しているとのことでした。犬と人が信頼し合いながら一緒に働く姿は、夕焼けをより美しくしている様な気がしました。 |
白トリュフ産地のサン・ミニアートで見たずば抜けたトリュフ犬の能力(イタリア・トスカーナ州 2007年10月) |