| TOP |  お買い物方法 |  フランス・ミディピレネーのやぎのチーズの旅日記 |

ピュイローランのマルシェは、美味しいものがたくさんあります。 (南フランス・TARN県・PUYLAURENS)



6月20日(水)(2007)の今朝は、ピュイローランという町で朝市が開かれてるので、ブーゴーさんの家に行ってから車で出かけました。フランスでも若者は、都会に仕事を求めて出て行くことが多いのか、このピュイローランでも朝市で見かけるお客さんは、お年寄りが多い気がします。
 
さて、今回は果物やサラミ、ワインなどを買おうと思いました。教会に続く坂には、農産物の加工品を並べる露店がありました。ここでは、ただ平たい台が置かれているだけの店が多いです。並んでいる物は、それぞれの農家自慢の野菜や果物、ジュース、ワインなどです。今朝畑から収穫したばかりなのか湿った土が付いている野菜もあります。私は紫色の皮をしたにんにくに目が行きましたが、食べきれないので我慢しました。ジャガイモやカブなども売られています。ここでこれらの野菜を買って自分で料理をして食べたいなぁと本気で思いました。

都会のマルシェと違って区画がない場所では、写真のように生産者が道端に自由に店を開いています。

私はワインも好きですが、濃縮果汁還元ではないストレートのジュースも好きです。中でもりんごやぶどうジュースがこうしたマルシェであるとよく買っています。それらはやはりスーパーマーケットなどで売られているジュースとは、明らかに違います。どの生産者が作ったのかが分かることも魅力です。(飲み残したジュースは500mlペットボトルに入れて運転時の休憩時間に少しずつ飲んでいます。)
 
マルシェで見かける生産者直売のワインは、1リッターで1ユーロ(165円)ほどです。お客さんは、自宅から空になったペットボトルやポリタンクを持参して、それにワインを入れてもらっています。日本でもワインを作っている地域はありますが、この値段で売っている生産者はいるのでしょうか?フランスの食の奥深さを感じます。このピュイローランのマルシェでは、パン屋さんによるサブレやコンゴレも見かけました。また、手作りのチョコレートのクッキーやレモン風味のクッキーを売っているおばさんもいました。どれも本当に美味しかったです。こうした焼き菓子は、日本に持ち帰り朝食に果物と一緒に少しずつ食べることにしています。

にんにくなどの野菜が台の上に並んでいます。飾り気の無い売り方がマルシェらしくていいです。

私達の目を釘付けにしたのは、下の写真のおじいさんです。自分の家で採れたさくらんぼを売っています。というか、一人ぽつんと椅子に座っているといった感じです。(いらっしゃい!とか、だんな、どうだい? なんて声は出していません。)売っているのは、5つの木箱に入ったさくらんぼだけです。ぽつーんと椅子に座っているその姿に見とれました。
 
値札を見ると、何々?・・1キロで2ユーロ(330円)。えっ、てことは、100gでたった33円・・・。いけません!これは申し訳ないくらいの安さです。1キロじゃ悪い気がして、習いたてのフランス語で、「2キロのさくらんぼを下さい。」と言ったら通じたようで、おじさんはすくっと立ち上がり、白い買い物袋の口を広げてさくらんぼを入れてくれました。立ち上がるととても長身で、しかもグローブの様な大きな手をしていました。

ひとりぽつんと椅子に座っていたおじいさん。アヌシーのマルシェで見かけたおじさんのように、仕事(商売)と言うよりも趣味の様な雰囲気でした。重さは、天秤を使って計ります。「これぐらいで釣り合っているから、2キロだね。」と言っているようでした。

このおじいさんが、何歳かは分かりませんが、75歳から80歳はいっているかと思います。でも、こうして農家をやっていて、時々マルシェに出て働いているなんて・・・とても素晴らしいと思いました。大きな売り上げには成らないかも知れませんが、買ってくれる人がいてその人たちから感謝される機会があるのが、お年寄りにとっても何よりもやる気が出ることだと思うのです。働きすぎず、お金の為ではなくて健康の為にやっているという感じがしました。

ジャケットにベレー帽をかぶったおじいさん。手は大きくてごつごつしていました。そして、働き者の穏やかなお顔でした。

私は、人は人と出会うことで、自身が磨かれて行くような気がしています。こうした高齢の人たちも立派にマルシェという舞台で地域社会の一員として参加して、共に生きている姿がいいと思いました。フランスの食の基本は、この町にもある伝統的なマルシェだと思います。暮らしの中に根付いているマルシェでは、誰もが参加(売り方・買い方)することが出来て、それがいろいろな年代の人との交流のきっかけにもなっているのだと思いました。
 
マルシェに来る度に、おいしいものが手に入ることはもちろんですが、それ以上にいろいろな人を見ることが出来るので、私にはとてもいい場所になっています。品質の良い商品がことさら飾らずに売り買いされている。電気も要らず、過度な包装もなく、必要な人に生産者が直接売ることが出来るマルシェは、環境にもいい方法だと思いました。そして、日本でももっとこの方式による販売が増えるといいなぁと思います。年に数回のイベントではなくて、定期的に開かれる市が増えることを期待したいです。


ピュイローランのマルシェは、美味しいものがたくさんあります。 (南フランス・TARN県・PUYLAURENS)