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4月のトゥールのマルシェの様子(フランス・ロワール地方)2007



4月20日(2007)の金曜日の朝、トゥール(TOURS)で開かれたマルシェに行きました。シノンでも農家が直接やぎのチーズを売っている店はありませんでしたので、このままでは何か物足りない気がしていました。駅から歩くこと10分。市営団地のような地域の広場でマルシェがありました。(住所は、Saint-Paul です。広場には教会がありますので、地元の人に聞くと分かると思います。)

トゥールの郊外にある団地の広場で毎週金曜日の朝に開かれているマルシェ。農家のチーズも売られています。

このマルシェを端っこから順に見て回っていて一番驚いたのは、2日前にサントモール・ド・トゥーレーヌの郊外にある農場を訪問したあの農家のジャンさんが店を出していて再会したことです。並べられたやぎのチーズを見ていると声を掛けられました。最初は普通の挨拶だと思って顔を上げてよく見ると、何とジャンさんだったのです。いろいろとお話をした後で、私が作ったジャンさんのHPの記事を見てもらいました。喜んでくれてよかったです。

偶然にも4月18日に訪問したサントモール・ド・トゥーレーヌを作る農家のジャンさんが店を出していました。

一方、こちらはご夫婦で作ったやぎのチーズを売りに来ていた農家の方です。やはり、スーパーマーケットなどで売られているチーズとは全く違います。光沢がいいといいますかやぎのチーズの外皮の紋様がきれいです。もちろん買いました。この後のお昼ごはんに食べましたが、キメの細かさといい、外皮の状態といい申し分の無い素晴らしいやぎのチーズでした。

やぎのチーズを作る農家の方。AOCのチーズではなくて、自分達の作りたいチーズを作っています。どれもおいしそうです。

最後に行った農家の方の店は10人以上が常に並んでいました。全て自分達のオリジナルのやぎのチーズでAOCのチーズではありません。値段が他店よりも安いですし、一方品質は高いと思います。この店には、常連のお客さんが付いているとすぐに分かりました。ここでは、サントモール・ド・トゥーレーヌのような細長いやぎのチーズが、4段階の熟成の違うチーズとして売られいました。フレッシュでヨーグルトを固めた程度のものから、10日位のもの、20日後位のもの、そしてそれ以上のものです。マルシェで買い物をする人は、それぞれに買う店が決まっているというか、誰から買うのかが決まっているのだと思います。AOCという規格?が付いているからそのチーズを買うとかいう動機ではありません。でも、いろいろな現場を見てきて感じるのは、フランスのチーズやワインなどの農産物にあるAOCという規格といいますかブランドは、美味しさを保障するものではなくて、この地域で作られていますよ程度のくくり(日本の生産現場のように、大豆や小麦を輸入して日本で加工したしょうゆやうどんではないですよ!)程度の意味しかないと思います。それなのにAOCですと、消費者にアピールしているのは、考えない人や食品を選べない人に売りやすくする為の戦略なのではないかと思います。彼らのように、お得意さんを持っていれば、つまりしっかりとした売り先があれば、自分が好きな味や形のチーズを工夫して作った方が楽しいに決まっています。他人が決めた規格やブランドではなくて、何も無かったところから、一から始めて自分で考え研究し行動をしてチーズが完成しただけでもうれしいと思うのに、それが多くの人からおいしいと言われてこのように売れるとは・・・。もう正に生産者にとってこの上ない喜びだと思います。私たちも実際に買って食べてみて、なるほどおいしいと思いました。

このマルシェで行列が出来ていたやぎのチーズを販売していた農家さん。値段も抑えていますが、品質は高いと思いました。いい店をお客さんはよく知っていますね。

私たちが選んで輸入をしているチーズの生産者は、こうした人が多い気がします。既存の方法やレールに乗らず、自らが開拓していくエネルギーを持った人が好きですし、そういう人が作ったチーズは格段においしいと思います。南フランスでやぎのチーズを作るブーゴーさんもそうしたオリジナルといいますか自分を信じて仕事をしている人だと思います。これまでにフランスの各地を回り、チーズの生産現場を見てきましたが、大事なことはブランドではなくて、作ったり売ったりする人の心だと思います。私たちはフランスのAOCのチーズが何種類あるのかは知りません。そうしたことには興味が無いからです。それよりも一体誰がおいしいチーズを作っているかという人間を知りたくて・探したくて、こうして旅を続けているのです。日本では島国のせいか、時間が無くて海外に行けない人が余りにも多いせいなのか?・・・、チーズに関しても誤った情報がまことしやかに流れています。たくさん売りたいが為の捻じ曲げられた作為的な情報も見受けられます。チーズマーケットでは、これからもこうした事が少しでも無くなる様に、旅を続けて真実をお伝えしていきたいと思います。


4月のトゥールのマルシェの様子(フランス・ロワール地方)2007