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チーズマーケットお勧めのオッソ・イラティーを作る農家を訪ねました。2007年8月



8月11日(土)(2007)の朝、ARUDYから車でアスプ谷にあるオッソ・イラティーを作る農家を訪ねました。村の名前は、Lourdios−Ichereといいます。ラベルにあった住所だけが手がかりです。いつも美奈子店長がその地域のミシュランの地図で大体の位置を調べてくれます。あとは、現地に行ってそれらしい建物や関連するもの(例;羊を飼っていそうな畜舎や牧草ロール)を探して車から降りて、聞き取りをします。今回は苦労しました。下の写真がその農家、奥さんのアン・マリーさんのお宅でしたが、一般道はこの写真のはるか下に流れる川に沿って走っていたので、聞きに行くにも、その急な斜面を登って行かなくてはなりませんでした。違う家だったらどうしよう・・・? その繰り返しで取材は始まります。

山の斜面のへばり付いている感じの羊を飼う農家さん。地震が少ないヨーロッパだから安心して住めるのかも知れません。

余りの急な坂だったので、私が一人で登って聞きに行きました。チーズのラベルを見せながら、「ここはこのチーズの生産者でしょうか?私は、日本から来ました。今、ランジス市場であなたのチーズを輸入しています。」と片言のフランス語で言うと、「ええ、そうよ。中に入って!」と歓迎してくれました。「いろいろと見せて欲しいのですが、・・・」とお願いすると、「喜んで時間をとってあげるわ!」と答えてくれたので、さっそく車に戻りました。今度は美奈子店長と教えてもらった道を上がり、再びアン・マリーさんの家に来ました。奥さんは、代々この地で暮らす家系だそうで、その歴史は西暦1600年前ぐらいから分かっているそうです。「えっー、そんなに歴史があるの?」と、とても驚きました。それは日本では、江戸幕府が出来た頃ですね。

オッソイラティーを作る農家のアン・マリーさん。とても力があって、元気な方でした。

案内されてとても古そうな石造りの建物に入ると、オッソ・イラティーの熟成庫(冷蔵庫)がありました。その前には、下の写真のような作業場があります。デジタル秤を使って、ランジス市場へ月曜日に出荷するための作業をされていました。

ここは元々、やぎや羊を飼っていた畜舎なんだそうです。うーん、ざっと見ても100年以上は経っているほどの古さを感じます。作業台等は新しくしていますが、壁や柱や天井は昔のまま使っているようで、無駄なお金を使わないのが合理的でいいなぁと思いました。

オッソイラティーを出荷する準備をしていました。ここは元々は、やぎと羊を飼うための部屋だったそうです。

熟成庫には、オッソ・イラティーが300個以上ありました。棚の木材は、サパンを使っているそうです。庫内は冷蔵になっていて、アンモニアのような松ヤニのような強い臭いが漂っていました。今の季節は、山のさらに上の方(標高1,000m以上)で放牧をしているそうで、搾乳をしてチーズを作るのは、休んでいる農家が多いようでした。

床は常に濡らしてあり、湿度が高くなるようにしています。オッソ・イラティーは、写真のように木の上に置いて熟成させていました。

では、今頃は何をしているかと言いますと、夏の間に干草を作って冬に備えるのです。お父さんのジュリアンさんと一緒に山に登り、昨日刈り取った草をトラクターがぱらぱらと飛ばしながら走って行きます。こうすることで、短時間により草を乾燥させることが出来るようです。しっかりと乾燥させた後で、干草をまとめてロール状にして貯蔵します。

干草を作る作業を見に行きました。白く見えるのは前日に刈り取った草です。まだ水分が残っているので、今日はこの草をトラクターで飛ばしながら、空気を入れて乾燥を促していました。


本当に山ばかりの地形なので、平らな所はあまりありません。向こうに見える高い山でもその頂上付近まで、牧草地として利用されていました。この地方の農家の人たちの勤勉さには驚きます。また、急な斜面にも羊や牛が放牧されていて、おいしそうに草を食べている姿を見るとたくましいなぁとも感じました。よく足を滑らせて谷底に落ちないなぁと感心するほどバランス感覚が良いようです。
 
厳しい地形なので畑作は難しいですが、こうして牧畜を主体にしながら、オッソ・イラティーというチーズを作る一大産業に作り上げてきたことに頭が下がりました。この旅の中で時間があれば、是非山の上の方で放牧している羊の様子を見に行きたいと思います。


チーズマーケットお勧めのオッソ・イラティーを作る農家を訪ねました。2007年8月