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出来立てモッツァレラチーズを食べました。



10月13日(2005)、今日は朝9時から水牛乳のモッツァレラのチーズ工場に行きました。FROSINONEのホテルに取引先の方が迎えに来てくれました。車で南に向かいました。30分ほど走ると地中海に程近い町、PONTINIAに着きました。Francia(フランチャ)社は複数の工場を持っていますが、ここでは水牛のモッツァレラを専門に作っています。


まさに今モッツァレラが出来ました。塩水に落として小一時間ほど漬けてソルティングをします。

上の写真のようにいろいろな製造工程を経てやっとモッツァレラが出来上がりました。それを包装して出荷する前にその場で食べさせて頂きました。初めてだったので一体どんな味なんだろうかと興味津々でした。

出来立てのモッツァレラチーズを食べる美奈子店長とステファニアさん。

モッツァレラは、先の写真のように塩水の入ったバットに入るまで、一切の塩を使っていません。食べたモッツァレラは包装する直前のものだったので、塩水に漬けてわずか一時間経ったものでした。フレッシュ感があってそれなりに美味しかったです。でももっとこれ以上に美味しいのでは?と想像していた私をがっかりさせました。何故なら、「出来立てのモッツァレラは、なお美味しい。」なんていう記述を日本の本や雑誌やTVで見たことがあったからです。でも、それは間違った記述だったと判りました。これまでで最も美味しいモッツァレラではなかったのです。この美味しさの質は、いつも私達が輸入をして食べるモッツァレラの美味しさとは別でした。ずばり、味に深みや複雑さがないからです。表面にしか塩が浸透していないので全体のバランスももう一歩です。ヨーグルトのような若いチーズ特有の酸味が突出した味と豆腐を噛んだ時の味、そしてバターの脂肪分を合わせたような風味です。歯ごたえは程よい柔らかさで、中も外も均一でした。これを食べた後で、私は確信しました。「今チーズマーケットで輸入しているこのモッツァレラを日本でとてもいい状態で販売出来ている事」を。輸入をして札幌で販売出来るまでには最短でも製造から6、7日後になります。出来たでではありませんが、そのモッツァレラは毎回とても美味しいのです。 今まで私の頭は次のような思考回路になっていて、所詮輸入していては本場の味にはならないのでは?という引け目を感じていました。でも、輸送中の適正な温度管理など現代の科学技術の発展のお陰で、一万キロ離れた日本でもほとんど変わらない味を提供できていると自信が沸いてきました。正直に「今食べたモッツァレラが期待ほど美味しくなかった。」と案内をしてくれたイタリア人に話すと、「私もそう思います。」とニッコリして答えてくれました。彼が言うには、朝モッツァレラを作れば、その日の午後や翌日、或いは2日目、3日目ぐらいが最もおいしくなっていくとのことでした。(注;何日目かは、どのようなミルクでどう作るかで違ってきます。)そして、ずっと常温で置いておけば、1週間以内には腐敗して食べられなくなるそうです。しかし、作った後に塩水に浸したままで冷蔵庫で低温保存をすれば、味の変化は急激に変わらずに、とてもゆっくりと落ちていくそうです。しかし、ずっと冷蔵庫に入れたままでも、製造後3週間ぐらい後にはすっかり味が落ちてしまうそうです。その期間の長さはモッツァレラの消費期限と当てはまるのです。今回の取材でまた一つ、日本でのモッツァレラの誤った記述を正すことが出来ました。そして自分自身がモッツァレラの事を深く理解できました。これからも自分の足と時間とお金を可能な限り使い、いろいろな生産者を直接に取材することで、チーズに関する真実を日本の皆様に伝えて行きたいと思います。


チーズマーケットで輸入しているこのフランチャ社製の水牛のモッツァレラは、本当に美味しいです。これまでの8年間で約20社に近いモッツァレラをいろいろと食べて来ましたが、その中でトップクラスのモッツァレラだと思います。どうしてこのモッツァレラが美味しいのかが、今日の取材でよく分かりました。これから、製造工程を順を追って解説していきながら、美味しさの秘密をお伝えしていこうと思います。



出来立てモッツァレラチーズを食べました。