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ぶどう農家の奥城尚義さん方でのピオーネの出荷の方法 大分県宇佐市院内のピオーネ農園(9月2007)



9月11(火)の朝7時半、農家民宿「せせらぎの里」のピオーネを作る農家、奥城さんのぶどう園で収穫したピオーネを出荷する作業をしました。奥さんの朝恵子さんと私達の4人です。居間の空いたスペースに新聞紙を敷いて、収穫したぶどうを置きました。

早朝に収穫したピオーネがたくさん入っているコンテナ。今日は居間で作業を行います。

ぶどうの房を被っていた袋を外し、虫に食べられていたり傷んでいないかなどを見てから、青いトレーに並べます。慎重にやらないとぶどうの粒は、簡単に房から落ちてしまいます。
 
それを奥城さんが、デジタル秤を使って重さを確かめます。小さいものは一房が300g位、大きいものだと700g以上にもなります。全てのぶどうの重さを量り終えてから、今度はいろいろな箱やトレーを用意して、それらに合う大きさのぶどうを選びます。ぶどう同士の組み合わせを見ないと上手に箱に入らないのです。パズルのような気がしてきました。

一つ一つのぶどうの房をデジタル秤に載せて、重さを量る奥城尚義さん。

500g以上の立派な房のピオーネは、奥さんと美奈子店長が専用のフィルムの袋に入れて、包装します。口のところは、セロテープで留めます。この透明な袋に入れると、商品らしくなって見えます。高く売れるといいのになぁと願いました。

奥さんの朝恵子さんと一緒にピオーネにセロファンのような化粧袋を被せて、セロテープで留めていきます。

次に箱詰めの作業をします。700g以上の特大の房なら3つを、それ以下の重さのピオーネなら下の写真の様に4房を入れていきます。この段階で、もうお見舞いに持っていくような特別なぶどうに見えてきました。子供の頃に病気をすると、お母さんがいつも以上に優しくしてくれて、おまけに普段は食べられない美味しい果物が食べられたことを思い出しました。こんな立派なぶどうが病気をしなくても、普段から食べられる様に成って、今は本当に幸せなことだと感じています。

箱に入れる場合は、一個が500g以上のピオーネなら4個入りにしますし、1個が700g以上なら3個入りにして2kgを超えるようにしています。

出荷する箱の側面に、生産者が分かるように、奥城さんのコードのゴム印を押しました。また、その横には、房の入り数もスタンプしました。3と4です。

箱にピオーネを詰めた後、側面にぶどうの房を何個入れたのかと、奥城さんの生産者番号の印を押しました。

また、特別に大きい房のピオーネは、1kg入りの化粧箱に入れます。美奈子店長がその上からセロファンの蓋を被せます。そして、「種無し」というシールをセロファンの上に貼って、準備が整いました。
 
300gほどのピオーネは、スーパーで苺が入っている様な透明な深いトレーに入れて、同じく上にはセロファンの蓋をします。これらの簡易包装のぶどうは、近くにある道の駅に出荷します。

ピオーネを1kg入化粧箱に収めてシールを貼って完成です。とても立派なピオーネが出来上がりました。

奥城さんと3人で、まず院内の道の駅に行きました。300g、400g、500g、1kgの4種類のピオーネを出荷しました。下の写真のように店の外にある生鮮野菜コーナーに並べます。こうした作業も出荷する奥城さんがやっていました。店の人に納品書を渡すと、その出荷数と同数のバーコードの付いた値札を印刷してくれます。その値札も生産者が商品に一つ一つ付けています。ここまでやるとはなかなか大変ですね。

院内の道の駅に出荷しました。納品伝票を店の人に渡すと、奥城さんの名前とバーコードが印刷された値札を印刷してくれます。これをそれぞれのぶどうに貼って、野菜と果物コーナーに自分で並べます。

次に宇佐市の農協に行きました。時刻は昼前です。しかし、誰も居ませんでした。しばらくすると担当者がやってきました。せりは明日の朝に行うとのことでした。もう既に奥城さん以外の農家の方のぶどうの箱も山積みになっていました。一体、どんな値が付くのでしょうか? これまでの一年間の労働に見合うだけの値が付くことを願いました。

農協に出荷しにやってきました。すでに他の農家の方が持ち込んだぶどうが並んでいます。明日の朝に等級を決めて、ここから九州各地に出荷されるようです。

今までは、出荷する先といえば、市場しかなかったのが、こうして道の駅という新たな売り先が見つかり、売り上げも前よりは良くなった農家が多いようです。しかし、道の駅でも売り上げのいくらかは店に行きますし、何よりも売れた分だけしか仕入れてくれない消化仕入れと言う厳しい取引条件です。これには、驚きました。出荷したぶどうの幾つかが残ったら、それらを自分で引取りに行くか・店側で廃棄されるとのことでした。ワインや缶詰などの商品なら返品されてもいいけれど、生の果物に消化仕入れとは、・・・・うーん、現実はなかなか厳しい様です。
 
こうして、いろいろな農家の現状を見てきましたが、やはり農家が安定した経営をして行く為にも、生産者である農家が、消費者と直接取引が出来るようにしていく必要があると思いました。そして、市場だけではくて、道の駅や生産者自ら販売するネット取引など、売り先を多く持つ事が安定した経営につながると私は思います。せっかく、日本は世界に誇れるブロードバンド大国なんですから、補助金をばら撒くだけの行政ではなくて、それぞれの農家が真に日本の食を支える担い手として継続していけるようなサポートをしてあげた方がいいと感じました。これからも日本各地の農家を訪ねて見たいと思います。奥城さん、本当にありがとうございました。


ぶどう農家の奥城尚義さん方でのピオーネの出荷の方法 大分県宇佐市院内(9月2007)