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夜の梨園には、魅惑的な光が満ち溢れています。大分県九重町松木地区の吉武農園(9月2007)



9月9日(2007)の夜9時過ぎ、大分県の九重町松木地区にある吉武果樹園で美味しい夕食を頂いた後、みんなで夜の梨園を見に行きました。と言うのも別の梨園から戻る夕方、向かいの山の方に何本もの黄色いライトがあったので、「あれは何ですか?」と吉武さんに聞くと、「梨園にあるライトよ。」と教えてくれました。何でも、この明かりは蛾などにとっては苦手な色の様で、その分農薬などを減らせるということでした。吉武さんのご自宅から梨園までは、歩いて3分ぐらいの所の少し登ったところにありました。
 
黄色い明かりに照らされた梨畑は、何だかとても幻想的な雰囲気がありました。頭の上には栄養をたっぷり受けて育った見事な大きさの梨がたくさんぶら下がっています。その梨の表面もライトに照らされて、反射して輝いています。この光を見ると蛾はおとなしくなるようですが、私には何だかはしゃぎたいような踊りたいような光景でした。

まるでライトアップされた庭園のような美しさでした。

一本の光の元を見てみました。蛍光灯の30Wぐらいの長い蛍光管が光っていました。管からは熱は出ていないようですし、この光に虫は寄ってきていません。効いているようです。

電源は動力の200Vを使い、少しでも電気代を抑えています。

梨がぶら下がっている高さは、下の写真の様に美奈子店長のような女性が手を伸ばしてちょうど届く様に枝が張り巡らされているので、収穫時には楽な姿勢で梨が採れるそうです。私には少し低くて中腰になるので、時折、枝と枝の間に空いた空間に頭を入れて背を伸ばさないとほっと出来ませんでした。^^)この梨園には有袋と無袋の2種類の栽培方法の違う梨がありました。もちろん、袋をかけて育てる方が労力も多く大変なようですが、袋を付けない無袋梨も市場からの需要があるので、作っているそうです。

お互いの顔は、はっきりと見えます。今日も朝早くから働いてきた吉武さんなのに、夜遅くに梨園にまで連れて来てくれて感謝しました。

懐中電灯を照らして、吉武さんは自家用と道の駅に出す様に、何種類かのりんごも作っていました。後で食べさせてもらいましたが、津軽は本当に美味しかったです。九州でもこんなに美味しいりんごができるなんて、びっくりしました。吉武さんの住む松木地区は、標高が400mほどあるので、日較差も大きく冷涼になるのでりんごにも合っているそうです。

木が駄目になって抜いた場所が空くとまた別の木を植えているそうです。今度は何を植えようかと夫の孝司さんと相談して決めるそうです。とても仲が良いご夫婦です。

今回、こうして梨の生産現場を見ることが出来たお陰で、農薬を減らす方法や果物に残留しない農薬の使用など、安全に作物を作る方法も日々進歩しているんだと実感しました。しかし、この照明は農薬よりもはるかに安全だけど、その分電気代はかかります。だから、市場で梨がたくさん出回ると、価格は暴落してしまい期待した売り上げにならないこともあるようで、安定した生活が難しいようです。これが若者が継ぎたがらない理由の一つのようです。ならば・・・、市場に頼らない新たな独自の売り先ルートを農家が持つことが必要だと感じました。
 
こうした現状について、吉武さんから直接いろいろと聞かせてもらい、また実際に生産現場の様子を見ることが出来て、本当にいい勉強になりました。そして、安心して食べられる梨を買うルートを見つけられた事がもっとも嬉しいことです。トマトジュースなら深川市の高桑さん。りんごジュースなら弘前の小山内さん。お茶なら四万十町の田辺さん。・・・こうして真面目な生産者の方達と出会うことが出来た事が、最もありがたいと感じています。
 
日本の各地にある農村では、このように安全で美味しい食べ物を作ろうと頑張っている人が居ると分かって、元気が出てきました。昨年までは、ヨーロッパのフランスやイタリアばかりに目が行って、自分の国を見つめることが出来なかった過去の自分が情けないです。吉武さんのような良い人が、経済的理由で廃業してしまうことが無いように、都市部に住む私達は彼らから直接買うことで、少しでも利益が上がり、そうすることでいくらかでも支えてあげられたらいいなぁと感じました。「農家から直接買う!」・・・チーズ以外にもこの取り組みを私は続けていこうと考えています。


夜の梨園には、魅惑的な光が満ち溢れています。大分県九重町松木地区の吉武農園(9月2007)