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田染荘(たしぶのしょう)の農家民宿小藤で、なすの収穫を手伝いました。大分県豊後高田市河野さん(9月2007)



9月11(火)の午後4時、ピオーネ農家の奥城さん宅を出発しました。いくつもの山を超えて行くと豊後高田市の郊外にある荘園の宿「小藤:おふじ」に着きました。と、文章にすると簡単ですが、ナビがあっても迷いました。(地元の人に道を聞くのが一番確かです。)河野さんの家のある地区は、小さな山と小さな山の間を流れる川に沿った細長くとても奥まった場所だったので、軽四輪がやっと通れる位の道幅ですし、その道は森のように高い木がたくさん茂っていて薄暗いし、この先に本当に家があるのかなぁ?と思い先に進むのをためらくほどでした。でも、こういうところに住んでいるのは、きっと素晴らしい生きる能力がある人なんだと思い、会うのを楽しみにして来ました。
 
河野さん宅では、夫の忠臣さんが農業をされています。椎茸栽培が主で、高品質の干椎茸を出荷してます。また、米や野菜も作っています。鶏や小動物も飼育していて、自分達が食べる物のほどんどは自給自足できているそうです。そして、奥さんの洋子さんが、そうしたおいしい材料を使って、農家民宿に泊まりにくるお客さんにお料理を提供しています。自分で作られた野菜や米をつかってお料理をしたら、それだけでも美味しいご飯だろうなぁと思っていたら、それ以上に美味しいお料理が出てきました。

はつらつとしていて、さっぱりとした性格の河野洋子さん。彼女の作るお料理は、どれも本当に美味しかったです。

ごぼうと高野豆腐と人参、こんにゃくの煮しめ。きゅうりの酢の物。豆腐の白あえ。金時豆の煮物が並びました。うーん、どれから食べようかなぁと迷います。そして、写真には無いですが、団子汁も出てきました。紫蘇ジュースもきれいな紫色をしていて美味しかったです。好きなものばかりで、とてもうれしいです。また、なすの味噌田楽も出してくれました。これは茄子を焼くのにとても時間がかかるんです。ちょくちょく焼き加減を見ていないといけませんし・・・、味噌も河野さんが作ったそうです。うーん、私もこういうことを一年を通してやってみたいです。そして、毎年季節ごとの仕込をして生活してみたいと思いました。

河野さん自慢のナスで作った味噌田楽。濃厚な味わいでとても美味しかったです。

次の日の朝は、7時半になすの畑に3人で行きました。朝飯前の仕事です。朝早くに収穫する方が、より美味しい茄子として出荷できるそうです。畑を見るなり、「さすがはプロの茄子だ。」と思いました。なすの背丈が美奈子店長ほどにも伸びているのです。札幌にある私の畑のなすは、膝ぐらいまでしか伸びていません。河野さんになすの収穫のやり方を教えてもらいました。割り箸を渡されて、この長さよりも長い物だけを鋏で切って取るように言われました。野菜を出荷するときには、サイズがとても重要なようです。

添え木を三角形に組んでいて、その両斜面からなすの枝が伸びるようにしてありました。

美奈子店長もウキウキして、ナスを収穫しています。こうした生産現場へ来ると、どのようになすができているのか、また新鮮なナスがどういう状態なのかが良く分かります。表面のつやの具合やうぶ毛が生えていたり、傘の部分に鋭い棘があったりと、普段八百屋やスーパーで見るナスとは違うことがよく分かります。

朝露で地面は濡れていて転びやすいので、注意が必要でした。

朝日を一杯に浴びることで、眠気も取れてきました。黄色いコンテナには、なすが見る見るうちに溜まってきます。30分ほどで5個あった黄色いコンテナが一杯になったので、収穫を終わりました。これから家に帰り、朝ごはんを一緒に食べた後で、ナスを選別して箱に詰めて、組合に持って行きます。

給水や水はけや、枝が伸びやすいように添え木をしたりといろいろな工夫が見られました。

なすの選別をして、唖然としました。「ちょっとした傷があったり、曲がっていたり、表面の色が黒ではなくて、紫色だと売れないんだ。」と、河野さんは言うのです。捨てるのはもったいないので、そうしたものを自家用にしたり、飼育している家畜に与えると仰いました。なるほど、農家でにわとりなどを飼う人が多いのは、こうして規格外になった野菜を有効利用することにも役立つんだと知りました。そして、何と言ってもいけないことをしているのは、市場関係者だと思いました。私達消費者もしっかりしないといけませんが、味が同じなのに、見てくれで判断することを止めなければなりません。規格品という制度というか商習慣は、河野さん達農家にも私達消費者にもメリットは全くありません。より高い値段で売りたいという生産者と消費者の間に立つ人間を喜ばせているだけのことだと思います。消費者は、一箇所で何でも買える事に価値を見出すのではなくて、肉、魚、野菜、食品とそれぞれの専門店を回って買っていた、一昔前の生活スタイルを取り戻すことが必要だと思いました。そして、こうした規格外にされて良質である野菜をより多くの消費者が安く買える仕組み(例えば道の駅など)をもっと作って行かなくては駄目だと思いました。5つのコンテナの茄子から出た規格外のナスは、2コンテナ分。・・・・これでは農家の人がかわいそうだと思いました。何とかせねば、・・・。私が、今やれることは何か?農家と直接つながっていくことだと感じました。日本の現状は、時間が無い人がほとんどだから、スーパーやデパートで買い物するしか出来ない様になっているんだろうなぁと思います。今日本で起きているほとんど全ての問題を解決する唯一の政策は何か?それは労働時間短縮を法律で成立させることだと思います。時間が無いと全くもって何も始まらないのです。時間のある自営業者の私は、もっとがんばろうと思います。


田染荘(たしぶのしょう)の農家民宿小藤で、、なすの収穫を手伝いました。大分県豊後高田市河野さん(9月2007)