中津川地区の人口はもう何十年もの間、激しい増減がなく大体100人から120人ほどで推移しているそうです。(ここ数年では高齢化が進み若者は都会に働きに出て、90人ぐらいです。)なぜ、大きく増えたり減ったりしないかというと、この地区にある畑や田んぼ、そして山など全てから得られる糧を合わせても、やっと100人の生活を賄うほどしかないということなのです。交通の便がそれほど発達していないこうした多くの日本の山村では、食料は基本的には地元で調達するしかありません。都会の様に海外から輸入したものが入ってきたり、別の地域から移入するのは無いからです。地域の人達は、助け合い工夫をしながら、自然を相手に働きかけて何とか一日の糧を得て暮らしているのです。村にある田畑をよく見れば、そのほとんどが段差があったり、形が揃っていないなどで、例え気機械化してもさほどの労働軽減につながらないことが想像されるので、農作業も大変だと思います。しかし、その分人々はよく体を動かしているせいなのかとても澄んだ目をしていて、高齢の方も背筋が伸びて元気一杯に暮らしていらっしゃいます。それだけ毎日自然を相手にして真剣に生きておられるのだと思います。その時、私ははっとしました。しかし、これほど広い田畑や山があっても、僅か100人ほどの生活しか賄えないという事を。もっと人口が多い都市部の人間が生きていく為には、それに見合うだけのもっと広い田畑が都市部とは違う別の場所に必要だということを。しかし、それとは逆に世界各地では、年々草原や耕地が砂漠化して急速に減っている問題も起きています。一方で日本では、交通の便などが悪いなどの理由で、廃村になった村も増えていると聞きます。ただでさえ平地が少ない日本なのに、これはとても大きな問題だと思います。これからでも遅くないので、日本の地方にもっとテコ入れをして、皆がもっと農業のことを考えてアイデアを出し合いながら、日本国内に耕地がもっと増えるようにしないと日本の未来は暗いと思いました。都会に暮らしているけれど、食べるものは都会以外のどこかの土地で作られていることに気が付き、このままではいけないと思いました。だから、札幌に住む私のように都会に暮らす者こそ、農村のことをもっと考えないといけないと思いました。いろいろなことを考えさせられた四万十町の大正町(中津川)の訪問となりました。 |