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自営業の良いのは、毎日ちゃんと作って食べられる事。これが長生きの秘訣かも知れません。



自営業者であるチーズマーケットの店主自らが語る「自営業の素晴らしさ」について、これまでにいろいろとお伝えしました。その中で特にいいのは、毎日の仕事の合い間に少し時間が使えることです。私達自営業者の年間総労働時間は、一般的なサラリーマンよりもかなり多いとは思います。(私達は週休1日です。)でも毎日毎日、このちょっとした時間があるので、ふらっと買い物や用足しに行けるのです。また、この時間があることで気持ちの余裕が出来て、「お料理を作ろう。」というエネルギーも沸いてくるのです。昼に魚を開き干物にして、夜に焼いて食べようと思えるのです。今回はそうした時間が持てたことで、私の買い物や食生活の様子が、とても大きく変わったというお話です。


下の写真は、私の買い物かごです。この他に布製の買い物袋も一つ持っています。こうしたカゴをぶら下げて、歩いて30秒の道の向かいの新琴似南生協に行っています。月曜や水曜日など新千歳空港にチーズの通関に行く日以外は、朝10時から昼の1時までの間に一度買い物をします。しかし、店内で私のような働き盛りの男性を店内で見かけることはほとんどありません。そうなんです、日本のほとんどの男性は、この時間は会社などに行って働いているのでしょう。お客さんの95%以上は老いも若きも女性です。(残りの数%は、退職した男性か小さい男の子です。)一方フランスでは、平日のマルシェ(朝市)でも、働き盛りの男性を多く見かけます。

さっぽろ生協の買い物カゴ(350円)。ポリ袋が要らないときに持っていきます。

さて、話を元に戻しましょう。自営業を初めた頃の2,3年間はこの自営業の暮らし方に慣れていなかったのと、事業が安定していなかったので、毎晩遅くまで働いていて自由な時間が無かったものでした。その為に教員だった頃と同じ様な食べ物を買っていました。例えば昼はコンビニでサンドウィッチと肉まんとペット飲料を買い、車の中で食べて配達をしていました。また夕食時の買い物は、料理をするための食材ではなく、すぐに食べられる弁当や寿司、刺身の盛り合わせ、牡蠣フライやとんかつといった揚げ物、焼餃子、煮物などの惣菜や漬物を買ってちゃちゃと食べていました。味噌汁もインスタントでお湯をかけるだけでした。こんな私が選んで輸入していたチーズは今とは全く違い大量生産のチーズが主体だったと記憶しています。農家製のチーズなどはほとんど輸入していませんでした。とてもおいしいチーズというではなく、普通より少しいいぐらいのチーズだったと思います。
 
ところが今現在は、大きく違います。どういう風に変わったかは下の写真(6月17日夜8時の今日2回目の買い物かご)を見れば納得いただけると思います。まず、フルーツと野菜。(マンゴーにバナナ、そして水菜。)ミネラルウォーターとオレンジジュースです。ほうじ茶も買いました。あとは、半額になっていた厚岸のあさりとせんべいの計8点です。

買ってすぐに食べられる出来合いの弁当や惣菜は、もう二年は買っていません。


同じ人間とは思えないぐらい買うものが変わったと自分でも驚いています。手を加えないと食べられない物や飲めない物、つまり食材を中心に買うようになったのです。そしてフルーツは毎回買うようになりました。逆に味が付いていたり、火が入った加工食品は買わなくなりました。以前は、時間が無くて自分で料理が出来なかったり、不規則な生活で食べる時間帯もバラバラでした。そのくせ、健康を気にして野菜ジュースや栄養ドリンクを飲んだり、ビタミン剤やら健康食品に手を出してバランスの悪い食事の辻褄合わせをしていました。
 
でも、こうした食事は無意味だということをある人の経験談から気付きました。それは、今年90歳になった元畳屋さんのお上さん、栄オリさんでした。(新店舗を建ててる土地を売ってくれた恩人です。)元気で長生きをするには、以前の私の食生活では駄目だと云うのです。口にする物のほとんどを他人任せにしないで、自分や家族の者がその都度作ることが大事だとおっしゃいました。また美味しく食べるには、出されたものをただ食べるのではなく、自分がもっと食べ物の事を知ることが必要だとおっしゃいました。その為には、いろいろな食べ物に触れて、自分で料理をすることがいいというです。私はこの事に気付くのに、とても長い時間がかかりましたが、気付いて本当に良かったと思います。確かに長生きしている人が、きちんとした食事をしないでその分健康食品を摂取しているという話を聞いた事がありません。長寿の多くの人たちは、意外と質素な食べ物が多いですが、きちんと規則正しく自宅で食べていることが多いようです。自分で買い物をしたり、自分で畑を耕して野菜を得たり、それらで料理を作ってゆっくりと食事をする為には、時間が必要なのです。そして、その為の時間というのは、仕事を終えた夜の時間だけではなく、いろいろな店が開いている日中から活動できる時間が必要なのです。そして、どうせ買い物をするなら開店してから早めに行った方がいいものが買える事も知りました。夕方ごろとは品数が全然違って豊富で新鮮なのです。日中に買い物に行けるのは、自営業ならではの長所なのです。こうして良い物を手に入れて、自分でお料理をすることが毎日日の高い時から出来るのが、自営業のいいところなのです。
 
以前、職業別平均寿命というデータを見たことがありましたが、なるほど自営業の人たちの寿命は2位だっとと記憶しています。(一位は僧侶などの宗教家だそうです。)今回の事を考えますと、仕事と休憩の時間のバランスがいいのが自営業で、これが食事の内容や食べ方に良い影響を与え、長寿命という究極の目標の実現につながっているんだと思いました。
 
私も栄オリさんのように90歳までは元気に生きられるように、今の良い食生活を続けていきたいです。その結果、チーズマーケットの仕事も長く続けられるようにしたいと思います。長生きするには、自分で作ったものを規則正しくゆっくりと食べる事がいいと思います。しかし、働く多くの人達は、たとえその事が頭で分かったとしても、仕事の都合でなかなか実行することは出来ないと思います。でも、自営業ならそれが出来るのです。そして私は、こう思うようになりました。「忙しいからといって、食事をおろそかにするようでは、いい生活や仕事は出来ない。」と。がむしゃらに働いていた私も随分と変わったなぁと思います。でも、変わって本当に良かったと思っています。


自営業の良いのは、毎日ちゃんと作って食べられる事。これが長生きの秘訣かも知れません。