自営業者の良い点は、働きながら時間を自由に使える事です。ああ素晴らしい。 |
公立中学校で教員をやっていた私が言うのも何ですが、生徒に進路指導をした頃には、自営業という進路の選択肢はありませんでした。自分に経験が無かったので仕方が無いのかもしれませんが、「中学校を卒業してどういう進路をとるのか?」という問いに対して、教師側で用意できる選択肢は少なかった気がします。そしてその選択肢とは、どんな職業に就職するのかという切り口でしかなかったのです。では、希望する所に就職する為には、どんな高校に進学するのか?・・・・。という流れの様だった気がします。しかし、今では進路には別の切り口があることに気が付きました。それは働く事は同じでも、どんな立場に立って働くかという違いです。労働者になるのか、雇用者側になるのか、或いは自営になるのかというような立場の違いです。冷静に考えれば、サッカー選手や芸術家、歌手は自営業ですが、そのことよりも何をする仕事なのかに頭が行ってしまい、その仕事をすることでどのような生活スタイルが待っているかまでは想像がつきませんでした。どんな職業に就くかという職種を考えるのと同時に、どういう立場で働くのかについてまで考えて進路相談に乗っていたならば、もっと生徒にいろいろな可能性のある話ができたのではないかと悔やんでいます。今、こうして幸いにもチーズマーケットという店を持ち自営業を営んでおりますが、とても満足しています。これから数回に渡り、自営業者自らが自営業の素晴らしさについて数回に渡りお話しようと思います。そして、「こういう世界もあるんだ。」と、これから仕事をする若い方達に感じて頂けたら幸いです。 |
では、自営業の良い点、素晴らしい点をあげてみます。何といいましてもそれは時間を自由に使えるということです。これが一番気に入っている事です。時間といってもいろいろな時間があります。例えば、体が痛いと思えば、すぐに病院に行く事ができというような急を要する時間のことです。つまり予期しない突然の時にも、仕事を中断したり休んだりしてすぐに対応できるのです。しかし、これは本来は誰もが出来て当たり前の基本的人権のようなものだと思いますが、日本の会社などの組織の中でお仕事をされている方だと、そうそう休めないのが現状のようです。(少し痛くてもがまんしてしまうのです。)また、日本を離れて10日ほど旅行に出かけたいと思っても、それを実行できる大人は日本にどれ位いるのでしょうか?組織で働いている日本の労働者では、それはほとんど無理な話だと思います。 |
でも、自営業ならそれは無理な話ではないのです。実際に私達は自営業になってから年に5、6回は12日間の日程で海外に出かけています。年間で延べ60日から70日ほど海外に居る事ができるのです。つまり、自営業ですと、仕事を自分でやり繰りする事が出来ますし、そしてまとまった時間を作れるのです。 |
今から20年ほど前に、オリンピックのTV中継を見た事がありました。カメラは、客席で日本を応援する一人のおじさんを写していました。その方がどういう人なのかは知りませんが、羽織袴姿で扇子を仰いで応援していました。その姿は強く印象に残りました。それとは別に驚いたことがありました。それは、その人がオリンピックといえば、毎回欠かさずに見に行っているという話です。どうしてそんなことができるのだろうか? お金の問題ではなくて、どうしてそれほどの時間を確保できるのかが不思議でした。一体この人はどんな仕事をしているんだろうかと強い疑問が沸きました。何故ならその頃の私は、東京都江戸川区立の公立中学校で理科教師をしていたので、夏休み以外の普通の月に授業を休んで、長期間の海外旅行に行くなんてとっても無理だと思ったからです。この人は仕事をしていないのか? 或いは定年した人なのか? もしも仕事をしていて自由な時間が持てるなんて、一体どうして?????・・・。謎は深まるばかりでした。 |
そして今、私はその一つの答えらしきものが見えてきました。ひょっとしてあのおじさんは、私達と同じで自営業をされていたのではないかと。あるいは余り大きくない会社の社長か会長か何かで、自分の仕事を任せられる人が会社にいるのではないかと。あらゆる自営業者の皆が皆、一年を通して時間を自由に使えるとは思いませんが、私達のようにやり方を少し工夫すればやれないことはないのです。また、自営業者なら少なくとも会社等に勤める人達よりも、急用の時にすぐに時間を確保出来たり、長期間の休みを自分で決めることができやすいのは実際にあると思います。 |
これから仕事を選び社会に飛び出す若者に伝えたいことがあります。いろいろある仕事の中で、どの仕事を選べばいいのか? それは何といっても自分が好きだとかやりがいがあるかどうかという点が大事だと思います。またもちろん給与や待遇についても考えたり調べる必要があります。しかしさらに言えば、その仕事をする上でどれ位「時間の自由度があるか。」についても考えた方がいいのではと思います。何故ならこの時間の自由度の違いで、生活の内容が大きく違ってくるからです。つまり、どの職種にするのかを決めるだけではなくて、その仕事とどういう立場で関わっていくかということまで考えた方が、より納得のいく仕事が見つかるのではないかと思います。 |
仕事は、生きて行く為には確かに必要なことです。しかーし、人生は仕事だけではありません。仕事の奴隷というか言いなりになってしまい、その他の事は何も出来ないようではバランスが悪すぎます。それが例えどんなに自分が好きな仕事だったとしても・・・。私は仕事がどんなことよりも最優先するとは思いません。少しでも自分の時間を自由に使えるようにするためにも、仕事と上手に付き合う方法を見つることは大切だと思います。人生を楽しむためには、何といっても自由な時間がたくさん必要です。・・・たくさんのお金なんかよりも。 |
自営業者の良い点は、働きながら時間を自由に使える事です。ああ素晴らしい。 |